牛丼390円の無理ゲーなマーケティング #353
皆さんこんにちは。双子パパTakaoです。
先日、たまたま出かけた先で電車移動までの時間が迫っており、急遽、吉野家で牛丼を食べる事にしました。
一杯390円の美味しい牛丼を食べながら、これは本当に吉野家の経営大丈夫ンなんかいな?といろいろとこのプライシングやらマーケティングは無理ゲーだなと思いましたので、気づいたことをまとめたいと思います。
美味しい牛丼が390円、2.5ドルという衝撃
キャンペーンのことを知らずに入ったら、たまたま牛丼3社値下げキャンペーン期間中で、牛丼並盛が390円でした。
とても美味しくいただいたのですが、大学の学食よりも安くなってしまっており、衝撃を受けました。。1ドル150円で考えると、2.6ドル。。。
海外の方からすると、もはやチョコレート菓子すら買えない値段で、牛丼が食べられる不思議な物価の国に見えてくると思います。
業務改善のために、オーダーを集約して、呼ばれたら受け取りにいくスタイルに変わっており、昼時にスタッフ3人で回しておりました。
長期的な経営へのマイナスのインパクト
キャリアに関する仕事をしている視点から捉えると、この値下げ競争は長期的にかなりしんどい状況を招くと思います。
まず、働き手の確保ができなくなります。3人のうち、牛丼の盛り付けは男性、フロントのレジ打ちをパートの女性、アシストをアルバイトの若い女性が担っていました。常に忙しそうに動いており、まったく余裕がない状況で働いておられました。
構造的な人手不足社会において、アルバイトやパートスタッフの確保はままなりません。
さらに、競争が激化するなかで、どんどん採用条件を高待遇にして、働き手の確保をしています。
高待遇というのは、給与だけでなく、働き方のスタイルもより、負担なく働きやすいように配慮がされています。
ドン・キホーテでは、早々に髪の色は自由で、レジ打ちの方が疲れすぎないように椅子に座ってのレジ打ち環境を作っています。
先日訪れたスーパーいなげやも、この10月から髪の毛の色やスタイルは多様ですと宣言してました。
こうした中で、忙しくて大変な仕事は人手の確保がかなり難しくなり、淘汰されていきます。
値下げして、忙しく働くことが必要になる環境ではこれから益々働き手を確保していくことが難しくなります。
仮にタイミーでバイトに来たアルバイトの方がこうした環境で働くと、その後も継続的に働いてくれるかというとかなり怪しいです。
短期的には値下げ競争に参入することで顧客を取り込むことができるかもしれませんが、それにより現場のオペレーションが忙しくなり、回転数を高めるためにハードな現場の仕事を支えきれなくなると、長期的な事業成長はできません。
特に、新しい働き手が確保できないことは、経営が継続できないことを意味します。
付加価値づけと値上げを敢行すること
ではどうすればいいのでしょうか。やはりシンプルに吉野家の製品の付加価値をつけた値上げ路線に踏み切るべきでしょう。
冷静に考えて、主食であるお米の上に、牛肉を乗せたごはんが、500円以下というのはちょっとおかしなプライシングになっています。
マクドナルドなどの値上げの強気ぶりをみていると、平気でハンバーガーセットは1000円を超えていく単価で設定しています。
1つずつ個別によそって作りあげていく牛丼がハンバーガーセットより価値がないとは思えません。味も好みがあるとはいえ、吉野家の牛丼は十分美味しい商品だと思います。
サイドメニューの野菜、牛丼自体の価値を高めて、きちんと値段を上げていくことで、お客様の単価を1000円に引き上げていくことはできると思います。
さらに、海外の方に焦点を当ててプレミアム価格の商品も投入して、しっかりと稼いでいくインフレ脳型ビジネスに転換していくこともできます。
今回のように、松屋もすき家も、安売りポジションから変わる気がないのであれば、逆にチャンスで、自分たちは安売り競争からは抜けます。独自の生まれ変わった吉野家のポジションを取りますという宣言をしていくこともできたはずです。
つくづく、デフレ値下げ脳で集客してきた成功体験が仇となって変革を阻んでいるのだと感じます。
値上げして、その分価値を訴求して、働き的に給与と待遇で報いていく、このサイクルを回せるところしか、長期的な利益の創出はできないのだと感じました。