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「うなぎの成瀬」のマーケティングからの学び #363
皆さんこんにちは。双子パパTakaoです。
先日、近所にオープンした「うなぎの成瀬」というお店に行ってきました。
お店に行ってみて、気づいたマーケティングの学びをお伝えしたいと思います。
「うなぎの成瀬」とは?
うなぎの成瀬はフランチャイズのビジネスモデルを取り入れたうなぎのチェーン店で、個人経営のうなぎ店が多い中で、価格を抑え、提供スピードを上げることで新しい業態を展開しています。
2020年に最初の店舗をオープンして以来、急速に店舗数を増やしています。2021年には20店舗、2022年には50店舗まで拡大し、2023年には全国で100店舗を超えるまで成長しています。
自宅の近くの以前日本料理店だった場所に、新たにオープンしているのを見かけました。気になっていたところ、テレビ番組「カンブリア宮殿」で特集されており、実際に足を運んでみようと思い、食べに行きました。
独自のポジショニング戦略
まず何よりもユニークなのは、戦う市場の選び方が秀逸だと思います。
うなぎマーケットを選んだことにより、高価格帯での勝負ができる市場で、値下げ競争に巻き込まれずに、しっかりと稼ぐことができます。
個人経営のお店が競合に多いため、フランチャイズ方式での差別化が図りやすく、とくに価格優位の戦略が取れます。
価格は、何と比べるかが大切になります。うな重のマーケットでは3000〜4000円するものという合意形成がある程度できているため、これよりも安く提供できれば差別化が図れますし、顧客の価格への満足度も高まります。
実際に価格設定は絶妙で、うな重が2,000円を切る価格で提供されており、個人店の3,500円から4,000円と比較して「安い」と感じられます。
最も安い「うな重」は半身のうなぎで1,600円の価格設定になっていました。
マーケット全体の高い基準と比較することで、相対的に安さをアピールする戦略が成功していると考えられます。
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損益分岐点を下げる徹底したコストダウンの仕掛け
実際に店舗に行ってみて分かったのは、非常にシンプルでコストを徹底的に抑える仕組みが整っていることです。
居抜き物件に入居し、前の店舗が使っていた椅子やテーブルをそのまま利用し、改装費を大幅に削減しているようでした。
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その居抜き物件も決して一等地の立地ではなく、駅から離れた場所にあってもよいと割り切ることで、大幅に地代を抑えて出店することができるようになっています。
また、看板も布の掛け軸のような簡素なものを使用し、コストダウンを図っています。椅子やテーブルもIKEAのようなシンプルなものが採用されていましたが、日本料理店の居抜き物件をうまく利用し、店内の雰囲気は落ち着いていました。
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さらに、スチームオーブンを活用して炭焼きの手間をなくし、調理の簡略化によってアルバイトでも作れる仕組みを構築しています。
お昼時でしたが、店員さん2人で回しており、女性スタッフがホールを担当し、もう一人がレジを兼任していました。
注文してから提供まで10分もかからず、私たちの場合は7分ほどで出てきました。このように、効率的で低コストなオペレーションが実現されています。
合理的なフランチャイズモデルの工夫が随所に見られ、とても勉強になる体験でした。
肝心の味についてですが、十分に美味しく、炭火焼きの個人店には香りの面で劣るものの、満足できるレベルでした。マーケティングの観点からも、この業態は非常に興味深いなと思います。
従来、フランチャイズやファーストフードのモデルはありましたが、うなぎ専門店でこのように直接切り込む試みは珍しく、目の付け所がいいなーと感心しました。
いくつかの打ち手がキレイにつながり、うな重の「民主化」を実現しているのだと思います。
今回の体験を通じて、現場に足を運び、実際に見て感じたことをマーケティングの視点で考えることの大切さを改めて実感しました。
教科書的なマーケティング理論に、実際に現場で起きている変化を組み合わせることで、より深い学びが得られると感じています。
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