【論文レビュー】先見性と革新性をどう考えるか。：Unsworth & Parker（2003）

「Imagine you are running a marathon.」で始まるこの論文を、読まない選択肢はありませんでした（笑）。面白いたとえ話から始まりつつも、proactivityとinnovationを扱う硬派な論文です。

Unsworth, K. L., & Parker, S. K. (2003). Proactivity and innovation- Promoting a new workforce for the new workplace. The new workplace- A guide to the human impact of modern working practices, 175-196.

proactivityとinnovationの両者は近い概念であるとした上で、以下のようにそれぞれ定義しています。

Proactivity is a set of self-starting, action-oriented behaviours aimed at modifying the situation or oneself to achieve greater personal or organizational effectiveness.

Innovation is the process of engaging in behaviours designed to generate and implement new ideas, process, products and services, regardless of the ultimate success of these new phenomena.

proactivityが自発的に着手するもので行動志向のものであるのに対して、innovationはアイディアを創って実行するものである、としています。概念の広さとしては、proactivityの方がinnovationよりもスコープが広いとも述べられています。

では、両者を職場において推進するためにマネジャーは何をすればいいのでしょうか。

一つ目の実践的示唆は、proactivityやinnovationを持っている人材を採用すべし、というものです。そりゃそうでしょ！とも言えますが、意識・能力・特性といったものが求められることを考えれば、採用時点が重要というのはその通りなのでしょう。

二つ目の示唆は教育に関するものです。まず、proactivityやinnovationの前提として、職務に求められる知識や専門性を高めることが必要です。次に、より包括的なスキルや意欲を喚起すること、他者とのコミュニケーション・協働・リーダーシップを高めることも重要であると指摘されています。