【論文レビュー】協調性があると主体的な学びが促される!?:永井 & 中村(2020)
本論文では、大学生を対象とした4時点の縦断調査によって、主体的な学修態度と協調性が相互に作用する関係性について検証されています。両者の関係性がつぶさに検討され、協調性の種類によって主体的な学修態度との多様な関係性が交差遅延効果モデルを用いて明らかにされています。
四つの協調性
本論文における協調性は、協調的問題解決(例:「相手が納得するようにきちんと説明する」「他者と意見が異なるとき両者が歩み寄れるような解決案を考える」)、調和志向(例:「人の意見に合わせることが多い」「なるべく人に合わせようとしている」)、非協調志向(例:「人と気持ちを分かち合いたいとは思わない」「他の人の気持ちを理解したいとは思わない」)、協力志向(例:「みんなで協力して何かをやり遂げるのが好きだ」「みんなで何かをやるときには進んで協力する」)という四つの概念を用いて検討されています。
それぞれについて主体的な学修態度とともにマクドナルドのω係数で信頼性を検証し、以下のような記述統計量となっています。
主体的な学修態度との関係性
それでは主体的な学修態度と四つの協調性との関係性はどのようになっているのでしょうか。著者たちは、3か月ごと4時点での縦断調査によって、交差遅延効果モデルからその関係性を明らかにしています。
以下に四つのモデルをざっと添付します。
各時点間が実線で繋がっているものが有意なパスがあったものです。そこで、①主体的な学修態度と協調的問題解決と②主体的な学修態度と非協調志向の2つで有意な関係性があったと結論づけています。念のために補足しますが、②は負の関係性なので協調性を重視する傾向性があると主体的な学修態度につながる、というパスが明らかになっていると解釈できます。
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