【論文レビュー】仕事の資源と個人の資源からワーク・エンゲージメントへの影響:Xanthopoulou et al. (2009)
JD-R(Job Demands-Resources)モデルは、仕事の要求と仕事の資源という2つの側面から燃え尽きやストレスについて説明をするものでした。そこから研究蓄積を行うことで、エンゲージメントや動機づけといったポジティヴな心理的側面にも拡張し、さらには仕事の資源について個人の資源にも拡張することで射程範囲を広げています。本論文では、資源の側面に焦点を当て、仕事の資源と個人の資源とワーク・エンゲージメントとの関係性を縦断調査で明らかにしています。
調査デザイン
本研究ではオランダの企業で働く社会人を対象としています。約18か月(1年半)の間隔をとった2時点での縦断調査を行っているのが特徴的なデザインといえます。
全体像
仕事の資源、個人の資源、ワーク・エンゲージメントの3つの関係性について、2時点で調査した結果が以下の図に表されています。ざっくり理解するにはこれだけでも十分でしょう。
詳細
もう少しだけ細かく解説します。3つの概念を測定するために用いている変数は、Xanthopoulou et al. (2007)とほぼ一緒です。それぞれ一覧的に記します。
仕事の資源
5つの変数で測定をしています。具体的には、①自律性、②社会的支援、③上司コーチング、④言動フィードバック、⑤専門的能力開発機会です。これらのうち④のみがXanthopoulou et al. (2007)からの追加点であとは変更ありません。
個人の資源
Xanthopoulou et al. (2007)と全く同じで、①自己効力感、②組織基点の自己肯定感、③楽観性、の3つで測定しています。
ワーク・エンゲージメント
こちらもXanthopoulou et al. (2007)と同様に、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES)を用いていて、活力、熱意、没頭の3つの下位尺度で測定をしています。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!