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【読書メモ】サビカスはスーパーのlifespan/lifespace理論から何を継承したのか?
キャリア構築理論やキャリア・アダプタビリティを提唱したサビカス先生は、師事した一人であるスーパーの理論から何を受け継ぎ何を発展させたのでしょうか?『Career Psychology: Models, Concepts, and Counseling for Meaningful Employment』(W. Bruce Walsh他編著)の第6章に基づいてまとめます。
lifespan/lifespace理論
スーパーの理論の終着地点と形容されることもあるlifespan/lifespace理論について、サビカスは後年に職業行動発達理論として位置付けています。ここでのポイントは発達理論であるとしている点であり、後でサビカスが何を発展させたかと関連するものなので頭に置いておいてください。
タイトルにもなっているように、この理論はlifespanとlifespaceという二つの意味を持つ理論と言えます。スーパーはこの二つを以て個人の人生を表すものとして理論化しました。
両者については以下のように捉えられます。
lifespan
lifespanは、エリック=エリクソンが提示しているように、古典的な人生を通じた発達段階に関する理論です。成長、探究、維持といった概念として現れるものであり、時系列的な発達といういわば人生の縦軸のようなものをイメージすれば良いでしょう。
lifespace
他方のlifespaceは、仕事や仕事以外も含めた人生における様々な役割の中における自己概念の発達に関する理論とされています。これは空間の拡がりとしての発達という横軸のようなものと言えそうです。
キャリア構築理論での発展的継承
では、lifespan/lifespace理論をサビカスはどのように受け継いだのでしょうか。まず、発達段階については、初職への就職や転職といった移行における理解やガイドのための規範的な発達段階を捉える上で、スーパーの理論をある程度は受け容れたと言えます。
その上でキャリア構築理論では、段階やサイクルとして人生を捉えるというよりも、移行への対応のための心理的プロセスや心理的資源としての側面を強調している、という点が新しい点であると評価されているようです。キャリア構築理論は、移行への対応を重視することで、人生全体を通じた適応に焦点を当てているというわけです。