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【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティが離職意思に与える二面性とは?:Lee et al.(2021)
キャリアに対する主体的な意識を持っていると、離職意思が低下して組織コミットメントが下がるということが先行研究では言われています。キャリア・アダプタビリティも同様です。ただ、このロジックは理解できつつも、他方で離職意思が高まることもあるのではないの?という疑問が湧く方もいると思います。本論文のタイトルは「Is career adaptability a double-edged sword?」というなかなか刺激的な内容で、離職意思への影響の二面性について焦点を当てて研究しています。
Lee, P. C., Xu, S. T., & Yang, W. (2021). Is career adaptability a double-edged sword? The impact of work social support and career adaptability on turnover intentions during the COVID-19 pandemic. International Journal of Hospitality Management, 94, 102875.
全体像
まず、全体像を眺めてみてください。結論的には以下にある4つの大きい仮説がいずれも検証されていますので、研究に詳しい方はここで読むのを終えていただいてよいと思います。
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ソーシャル・サポートの調整効果
本論文で個人的に興味深かった点を少しだけ補足的に深掘りします。冒頭の問いに戻り、キャリア・アダプタビリティが離職意思に与える影響を何が調整するかというと、ソーシャル・サポートだというのが本論文の結論です。
ソーシャル・サポートはいくつかの主体による支援を概念化したものですが、本研究では上司サポートと同僚サポートの2つが挙げられていて、結論的にはどちらもキャリア・アダプタビリティが離職意思を低下するという関係性に調整効果を持っていることを明らかにしています。
特性が規定因
ではキャリア・アダプタビリティに影響を与えるものは何かというと特性です。これは先行研究でも散々言われていることではあるのですが、本論文ではプロアクティヴ・パーソナリティという自発的な特性が挙げられていて、検証されています。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!