【読書メモ】キャリアショックとは何か?:『持続可能なキャリア 不確実性の時代を生き抜くヒント』(北村雅昭著)[第4章]
ニューキャリア論は、キャリア開発を行う個人の主体性に焦点を当てるために価値をもたらしたものの、結果として環境要因に対する意識が弱くなるという副作用ももたらしたと著者はしています。その上で、予期せぬキャリア上の変化をもたらすキャリアショックという概念に着目して、本章では解説を行っています。
キャリアショックとは何か
個人のキャリアに影響を与える外的な環境変化であるキャリアショックとは、「程度の差はあっても個人がコントロールしきれない、キャリアについてよく考え直させるような、動揺を与える大変な出来事」(Akkermans et al. 2018, p.4)と定義されています。直訳調でわかりづらいなぁと思った方、ぜひ以下の原文を併せてご確認くださいませ。
キャリアショックと関連するものとして、キャリアにおける偶然の重要性が挙げられると著者はしています。偶然性に焦点を当てた二つの重要なキャリア理論は、①計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)と②キャリア・カオス理論(Chaos Theory of Careers)です。
①計画された偶発性理論
計画された偶発性理論は、偶然を促すように日々柔軟かつオープンに備え、訪れた偶然を活かすという考え方を取ります。
計画された偶発性理論については、花田先生の著書『「働く居場所」の作り方』を解説した際に扱っているのでよろしければご笑覧ください。
②キャリア・カオス理論
キャリア・カオス理論は、名称の中にも含まれるようにカオス理論をアナロジーとしてキャリア理論に活かすもので、非線形性と回帰性を重要な考え方としています。
VUCAと言われたり、人生100年時代と言われる現代において外的な環境変化はつきものです。外的な環境変化と主体的なキャリア形成との両方を統合しようとする持続可能なキャリアにとって、前者を捉えるためのキャリアショックは重要な概念となっているのでしょう。