【読書メモ】社会構成主義と心理的構成主義の相違点とは?:『社会構成主義の理論と実践』(K・J・ガーゲン著)
ガーゲンの『社会構成主義の理論と実践』はこれまで読めてなかったのですが(分厚いので。。。)、ようやく読めました。社会構成主義の主要テクストの一冊と言えます。ここでは、心理的構成主義との対比で社会構成主義についてガーゲンが触れている箇所についてまとめます。
心理的構成主義の特徴
心理的構成主義はconstructivismを訳したものです。「個人の経験世界が、その個人の内界で構成されることを強調する」(p.87)ものであるとガーゲンはしています。また、本書でもピアジェの発生的認識論が構成主義と呼ばれていることを紹介しています。
ピアジェについては解説書を過去に読んですごく簡単にまとめたので、ピアジェを知りたい!という方は以下をご笑覧ください。
共通点
まず、社会構成主義と心理的構成主義で共通する考え方が二つあるとガーゲンはしています。
つまり、①個人と社会とは相互作用するものであり、②相互作用というプロセスにおいて可変的であるということ、という2点が両者の共通点と考えられます。
相違点
他方で異なる点もあります。心理的構成主義は心を自明視しているのに対して、社会構成主義は心も世界もその存在を自明視していないという点です。ここが大きな相違点であり両者の決定的な違いです。
その帰結として、ガーゲンが心理的構成主義について厳しい目を向けていることがわかる記載が本書の中にあります。
なかなか辛辣な指摘ですが、なるほどねーという感じです。
まとめ
心理的構成主義と社会構成主義については他の論文でも扱ってきました。ガーゲンがどのように書いているのかを忠実にまとめましたが、だいたい同じ内容です(当たり前なのかもですが)。とはいえ、微妙に解説の力点が異なるのが面白いところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!