【読書メモ】カウンセラーが大事にする五つのポイントとは!?(8/9):M・サビカス著『サビカス キャリア・カウンセリング理論』(第8章)
前章まででキャリア構成カウンセリングのプロセスのまとめが終わりました。本章では、クライエントから聴き取った内容を基にしてライフ・ポートレートを構成してもらうための五つのポイントが提示されます。
①クライエントに十全に語ってもらう
なんといっても、クライエントが自身のことを十全に語り切ったと思ってもらうことが肝要です。クライエントの最良の語りをカウンセラーは聴き取るというスタンスが大事になります。そのための様々な観点やステップを、サビカス先生はここまでの章で丁寧に解説してきたわけです。
②可能性を開くように関与する
カウンセラーはクライエントのストーリーに一貫性を求めるわけですが、一貫性にこだわりすぎるとクライエントの語りを一つの着地点に収束してしまいかねません。一貫性は非常に大事ですが、それと同等に、クライエントが自覚的でない点に焦点を当てて多くの気づきを得られるよう可能性を広げていくように関与することが重要です。
③現在の地点から発展させる
クライエントにとってのキャリアテーマは生きたものであり、今後に向けた方向性を示すものであり、一歩を踏み出すための指針であるべきと言えます。現在までのクライエントの振り返りによってテーマを引き出しながら、現在の地点から将来に向けて全体を見通せるものとして描き出す支援がカウンセラーには求められます。
④信頼性があり、包括的で、一貫性があり、継続性のあるテーマ設定
キャリアテーマを見出すことによって、将来に向けて行動をクライエントが自然に取れるようになることが主要な目的の一つとなります。そのため、クライエントの多様な複雑性を含んだテーマであったとしても、包括的で、一貫性があり、継続性のあるポートレートを見出すことが必要です。
⑤ストーリーの意味を充分に解釈する
繰り返しになりますが、主役はあくまでクライエントであり、カウンセラーはクライエントの気づきを支援する存在です。したがって、クライエントが語るストーリーの意味を多角的な観点からフィードバックすることで気づきと理解を深めていくことが求められます。