【読書メモ】『[新版]影響力の法則』(アラン・R・コーエン デビッド・L・ブラッドフォード著 髙嶋成豪・髙嶋薫訳)
本書は"Influence without Authority"の第三版の翻訳です。2007年に出版された第二版の翻訳本を読んだ時は、面白い内容だなぁと感嘆しながらも、私が若すぎたこともあって仕事の場面をイメージして共感するところまではなかなかできませんでした。その後、ベンチャーから大企業、日系から外資までさまざまな企業に勤め、厄介な人や独特な人ともやり取りせざるを得なかったからか(?)、影響力の重要性を痛感して、実感値を伴いながら今回は読み進めました。
影響力を発揮するための第一歩
影響力とは、個人が保有していついかなる時でも発揮できるものではなく、文脈依存的に社会的な相互作用の結果として発揮されるものです。そのため、まず影響力を発揮するために必要なことがあります。
端的に言えば相手を知ることであり、より詳細には相手にとって価値のあるもの(本書では「カレンシー」と呼びます)を理解することです。相手にとってのカレンシーを理解し、その中で自分自身が提供できるカレンシーを提供することが影響力を発揮するために必要な第一歩と言えます。
影響力を発揮できない理由
しかし、影響力を発揮するための行動の重要性をわかっていても、それを妨げる要因が外的にも内的にもあります。著者によれば、そうした問題のほとんどは内的な障害に因るものであるとされています。
影響力を発揮できない内的な要因は4つあると本書では紹介されています。
影響力の方法の欠如
盲目的な態度
反応への恐れ
失敗への恐れ
個人的には三つめの「反応への恐れ」をよくやりがちだなと思います。こんなことを言ったら嫌な気分にさせてしまうかな、とか嫌われるかもな、と思って躊躇ってしまいがちです。
本書では、相手をどの程度理解しているかを知ることができる「"相手の世界"理解度チェック」というチェックリストもあります。影響力を発揮したい相手だけど何に関心があるかわからない、ということは職場であると思います。
組織のためだけではない
影響力を発揮することは組織で成果を出すためだけではありません。訳者あとがきでは、カレンシーの交換による影響力の発揮は個人のキャリア開発にとっても役立つものであるとしています。組織のためだけではなく、自分自身のキャリアにも活きるのですね。