【論文レビュー】仕事の資源を表す3つの観点:Schaufeli & Bakker(2004)
本論文はJD-Rモデル(仕事の要求と仕事の資源)を用いて、燃え尽き(burn-out)、エンゲージメント、心身の不健康、離職意思、との関係性を明らかにしています。
結果図
まず結論の全体については以下の結果図をご覧くださいませ。
色々と読み解けるものではありますが、ポイントは以下の4つであると著者たちはしています。
燃え尽きとエンゲージメントの間には負の相関がある
燃え尽きは仕事の要求の高さと仕事の資源の欠落から主に予見できるのに対して、エンゲージメントは仕事の資源の利用可能性によって予見される
燃え尽きは心身の不健康と離職意思と関係しているのに対して、エンゲージメントは離職意思とのみ関係している(心身の不健康とは無関係)
燃え尽きは仕事の要求と心身の不健康を媒介するのに対して、エンゲージメントは仕事の資源と離職意思を媒介する
仕事の資源を表す3つの観点
私の興味・関心で細かい点で興味深かった内容を深掘りします。JD-Rモデルのうちの仕事の資源(job resources)について本論文では3つの観点で捉えられるとしています。具体的には、①事業場レベル、②部署レベル、③作業・課題レベルです。
それぞれについて、島津先生は『新版 ワーク・エンゲイジメント』のp.48で、それぞれの3つの観点について具体的な変数をあげてくださっています。ありがたや。
①事業場レベル
経営層との信頼関係
変化への対応
個人の尊重
公正な人事評価
キャリア形成
ワーク・セルフ・バランス(ポジティブ)
②部署レベル
上司の支援
同僚の支援
経済地位/尊重/安定報酬
上司のリーダーシップ
上司の公正な態度
ほめてもらえる職場
失敗を認める職場
③作業・課題レベル
仕事のコントロール
仕事の意義
役割明確さ
成長の機会