
【論文レビュー】エンプロイヤビリティを組織はどのように活用できるのか?:Vanhercke et al.(2014)
本論文では、エンプロイヤビリティを心理的側面から定義し、そのポイントを五つに絞って簡潔に説明しています。その上で、人事実務において活用する際のポイントを提示してくれています。
Vanhercke, D., De Cuyper, N., Peeters, E., & De Witte, H. (2014). Defining perceived employability- a psychological approach. Personnel Review, 43(4), 592-605.
エンプロイヤビリティの定義
エンプロイヤビリティは1980年代には組織の観点で論じられていたようなのですが、2000年前後からは個人の観点(ミクロレベル)で論じられるようになったようです。本論文でも、個人の認識という側面から以下のように定義しています。
the individual’s perception of his or her possibilities of obtaining and maintaining employment
五つのポイント
概念の定義には著者の想いが含まれているものでして、この定義には五つのポイントが含意されているとしています。p.595-596にある内容を意訳的に箇条書きすると以下のようになります。
主観的評価であり、心理的側面を表す
雇用の可能性に関する関心を示す
雇用を獲得し維持し続ける
現在の所属組織だけではなく、社外の人材市場での可能性を含む
雇用に関する質と量の両面から構成される
人事パーソンが活用できること
論文を読む際、実践的示唆はざっとだけ目を通す感じなのですが(ごめんなさい)、本論文の内容は奮ってます。
When only external perceived employability is high, actions may be taken that promote the internal career path.
ここまでで触れた通り、エンプロイヤビリティには内的なものと外的なものとがあります。仮に社内で調査する場合、外的項目だけ高くて内的項目が低い場合には対応が必要です。引用箇所にあるように、内部のキャリアパスを提示して流動できるしくみが必要です。制度があれば良い、ということではなく、それを社員の方々が認識できるようにすることが重要と言えます。