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【超訳】サビカスのキャリア理論(14/14)

キャリア構築理論(Career Construction Theory)を扱う最終回です。専門家の方からお叱りを受けそうですが、キャリア構築理論のポイントを四つだけに絞ってまとめます。

①マッチングではなく適応

従来のキャリア理論は職業診断がベースとなっていたため、自分自身の特性を理解して、職務とマッチングさせるというアプローチが主流でした。しかし、環境も仕事も個人も変化するものですし、VUCAと呼ばれる時代においてはその変化の度合いや頻度は増していると言えます。

キャリア構築理論では、ホランドの職業診断であるRIASEC(六角形モデル)を、職業上の興味・関心を描くきっかけとして活用し、職業アイデンティティーを構築して適応させるという能動的な作用を促進することを想定しています。

②環境に合わせるのではなく環境と自己との相互作用

適応という言葉の意味合いにも留意が必要です。サビカスが適応という言葉で言わんとしていることは、何かに合わせるというような受動的なものではありません。むしろ、自己と社会との相互作用によって自己と社会を統合させることがキャリア構築理論では謳われているのです。

③相互作用を基にナラティヴの構築と再構築

相互作用によって紡ぎ出すものが、個人のキャリアを外化したナラティヴです。物語として描き出すことによって、自分自身が何を大事にしていて、何を活用してキャリアをすすめてきたのかに気づくとしています。

物語の構築は一回行えばOKということではありません。①で述べた通り、環境も自分自身も変化するのでいずれかの変化に対応するためには一度構築したナラティヴを必要に応じて再構築することが必要です。ダイナミックな変化に対するダイナミックな統合が求められるというわけですね。

④背景には社会構成主義およびプラグマティズム

キャリア構築理論における物語を構築したり再構築したりすると捉えるアプローチの基盤となる考え方には社会構成主義があります。さらにその背景には、プラグマティズムの思想潮流が流れており、初期のプラグマティズムの代表的な論者であるウィリアム・ジェイムズのIとMeの関係性の話が出てきています。

本書には出てきませんが、ジェイムズの少し後のプラグマティストであり、社会構成主義へと繋がるシンボリック相互作用論に多大な影響を与えがG・H・ミードの考え方も強く影響を受けているように感じます。

あとがき

ダラダラと13回にわたって書いてきた内容を、意訳を恐れずにぎゅっとまとめてみました。週明けからはキャリア構築理論をベースにした、キャリアをすすめる能力であるキャリア・アダプタビリティ(career adaptability)について取り組んでいきます!


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