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【論文レビュー】JD-CモデルとJD-Rモデルとの違いは何か?:藤本・脇坂(2008)

今回はJD-Cモデル(Job Demand-Control Model)をベースにした論文を扱います。JD-Rモデル(Job Demand-Resources Model)との相違点を見ながら、JD-Cモデルの特徴を見ていきます。

藤本哲史 & 脇坂明. (2008). 従業者のワーク・ライフ・バランス意識- 仕事要求度-コントロールモデルに基づく検討 (Doctoral dissertation, Gakushuin University).

JD-Cモデル

本論文は、サブタイトルにもあるようにJD-Cモデルをベースにした研究です。JD-Rモデルとは異なりますので要注意です!私が以前は勘違いしていただけですが。。。

試しにGPT-4先生に尋ねてみると、JD-Cモデルについて以下のような要約をしてくれました。

JD-Cモデルは、労働者の**仕事の要求度(Job Demand)コントロール(裁量権、Job Control)**のバランスが、ストレスや健康、仕事の満足度にどのように影響を与えるかを説明する理論モデルです。1979年にスウェーデンの社会疫学者、Robert Karasekによって提唱されました。
このモデルは、仕事のストレスが生じる要因を「要求度」と「コントロール」の二軸で捉え、仕事環境が精神的・身体的な健康にどのように影響するかを理解するために使われます。

GPT-4先生談

JD-Rモデルとの相違

JD-Cモデルは上にもあるようにKarasekによって提唱されたモデルです。流石にGPT-4先生頼りになるのはなんなので原文にも当たってみました。

Karasek Jr, R. A. (1979). Job demands, job decision latitude, and mental strain: Implications for job redesign. Administrative science quarterly, 285-308.

ストレス/緊迫状態(strain)に影響を与えるものを明らかにしようとして、仕事の要求度(Job demands)と仕事を自身で自由に統制できる度合い(Job decision latitude/Job control)とが相互作用しながらストレスに影響を与えることを明らかにしています。

それに対して、JD-Rモデルではストレスというネガティヴな心理的反応だけではなくワーク・エンゲージメントや組織コミットメントといったポジティヴな心理的反応への影響のメカニズムを明らかにしているモデルです。そのため、仕事の資源(Job Resources)では個人が働く上で効果を発揮すると想定される要素を扱っています。ざっくりといえば、JD-Cモデルを後の時代において拡張したものがJD-Rという位置付けと考えてそれほど誤りではないでしょう。

本論文のポイント

職務の要求度の高低と、コントロールの高低の4象限で、ワーク・ライフ・バランス満足感、勤務先企業のワーク・ライフ・バランス配慮意識、仕事のやりがい、職場満足感、でそれぞれのグループ間で差異があるかを明らかにしています。

たとえば、タイトルでも挙げられているワーク・ライフ・バランス満足感に対する4群比較の結果は以下のとおりです。

p.241

二軸の高低で四群に分けて比較検討するというデザインも、直感的にわかりやすくてなかなか面白いものですね。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました!

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