【読書メモ】マネジャーに求められる管理職コーチング行動とは何か?:『管理職コーチング論』(永田正樹著)
学術書を読む時にはちょっとしたコツがあります。内容を理解することを最優先にするのであれば、【結論】の章から読めば良いのです。その書籍の中で明らかになった点が書かれていて、そこで大枠を理解してからそれまでの章での詳細な分析と考察を読めば理解が促されます。本書でも第7章では【結論】が明瞭関係に記述されているのでオススメです。
準備としての学習環境の整備
管理職コーチングを効果があるものにするためには事前に学習環境の整備が重要だとしています。その上で、準備段階として4つの行動が大事だというのが本書の結論です。
その上で仕事の意味づけを行うことで、コーチングを受けるメンバーの心理的状態に影響を与える影響関係には性差があることを明らかにしています。
具体的には、男性のメンバーに対しては、プロアクティブ行動、ワーク・エンゲージメント、リフレクションに影響を与えるのに対して、女性のメンバーには、プロアクティブ行動、ワーク・エンゲージメント、心理的エンパワーメントに影響していることが明らかにしています。男性と女性とで少し相違があることを理解しつつ、概ね共通するものも多いということを明らかにした点も示唆深いと思います。
管理職コーチング行動
ではメンバーのリフレクションを促すための管理職コーチング行動には何があるのでしょうか。
本研究で明らかになったのは、心理的安心感の醸成、リフレクション支援、仕事の意味づけ、中堅社員の活用、の四つだとされています。
学習環境の整備で述べられた項目と共通するものもあります。管理職コーチング行動の尺度はp.146-147に全て掲載されているので、マネジャーの方がメンバーにどのようにコーチングすればいいのか知りたい方や、マネジメント行動を研究していて関心がある方は、ぜひ本書をお買い求めになってみてください!
挑戦的課題と意味づけ
これらの発見事実の後で著者は実践的示唆をいくつか示しています。実務での展開を強く意識して具体的に書いておられます。特に興味深いと感じたのが職務アサインメントとして挑戦的課題をメンバーに行ってもらうためにその意味づけを丁寧に行うという以下の指摘です。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!