【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティとエンプロイヤビリティ:Coetzee et al.(2015)
本論文では、196名の社会人を対象とした調査によって、キャリア・アダプタビリティとエンプロイヤビリティとの間に相関関係があることを示しています。この一文に尽きると言えば尽きるのですが、少しだけ細かな補足をいくつかします。
目標志向と継続学習
本論文でのエンプロイヤビリティは、著者のうちの一人であるCoetzeeさんが2014年の論文で開発したGraduate Skills and Attributes Scale(GSAS)で測定しています。
この尺度は、①問題解決・意思決定スキル(problem solving and decision-making skills)、②進取的スキル(enterprising skills)、③論理的思考スキル(analytical thinking skills)、④相互作用スキル(interactive skills)、⑤情報提供・活用スキル(presenting and applying information skills)、⑥倫理・責任的行動(ethical and responsible behaviour)、⑦目標志向行動(goal-directed behaviour)、⑧継続学習志向(continuous learning orientation)の八つの次元から構成されています。
大括りで言えば、冒頭で述べた通り、キャリア・アダプタビリティとエンプロイヤビリティは影響関係があるとしているのですが、特に⑦目標志向行動と⑧継続学習志向の二つが大きな影響を与えると結論づけています。
問題解決・意思決定、相互作用
また、キャリア・アダプタビリティ尺度(CAAS)の下位次元にまで落とし込んでの分析の結果としては、①問題解決・意思決定スキルと④相互作用スキルの二つがCAASの統制、好奇心、自信に影響を与えている点も明らかにしています。これは、先行研究での発見事実とも整合するものであると結論づけています。