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【読書メモ】ホランドが提唱した職業選択理論とは何か?:『ホランドの職業選択理論―パーソナリティと働く環境』(John L. Holland著)

キャリア構築理論キャリア・アダプタビリティを提唱したマーク・サビカスが影響を受けたのは、D・E・スーパーJ・L・ホランドです。スーパーについては読んだのですが、今回、ようやくホランドを読むことにしました。日本語になっているってありがたいですね。共訳者である渡辺三枝子先生たちに感謝しかありません。

個人の視点に立った理論

心理学の理論だと往々にありがちですが、ホランドは、自身の理論はカウンセリング経験から生み出したものであり、個人の視点に立った理論であるとしています。

私はキャリアを個人の側から眺める癖がついてしまった。つまり、人は、現在持っている個人的かつ環境的条件の中で、どのようにして問題を解決するかということを重視してきたのである。
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その上で、職業選択理論の特徴として、三つを取り上げています。

①人のパーソナリティ・タイプは六つある

各個人は、六つあるパーソナリティ・タイプとの類似度によって説明できると、ホランドはしています。その六つは、頭文字をとってRIASECと略される、現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的、というものです。

ここで注意が必要なのは、各人が六つのいずれかに分類されるというわけではありません。六つのパーソナリティ・タイプそれぞれとどの程度近しいかという組み合わせによってパターンが生み出されるという考え方を取ります。

現実のカウンセリングの場面では、「〇〇さんは【現実的】が強いタイプですね」というように六分類での会話がなされるのかもしれませんが、理論の有する全六つのタイプの値から構築されるパターンとして人の特徴が見出される、ということは留意しておきたいものです。

②環境モデルも同様の六つのタイプ

私たちを取り巻く環境についても、パーソナリティ・タイプと同じ六つのタイプで捉えられるとホランドはしています。これは、私たちが「それぞれのタイプに合った人や事物を自分たちの周りに集め、自分の興味や能力、世界観と一致する問題を探し求める傾向がある」(13頁)からです。

日本語でいうところの「類は友を呼ぶ」的に、個人が環境に働きかけるからということなのでしょう。

③個人と環境は相互作用する

個人も環境も六つのタイプのグラデーションによって構築されるわけですが、個人と環境とが相互作用することで個人の行動が決定される、という考え方をホランドは取っています。

小難しく言っていますが、例を挙げればわかりやすいでしょう。たとえば、私たちが転職先を検討するときには、個人のパーソナリティ・タイプのパターンと、ある企業のタイプのパターンとが影響し合って、実際に移るかどうかという行動に影響する、というような考え方です。

サビカスへの影響

サビカスは、自身のキャリア構築理論は社会構成主義をベースにしていると言及しています。ホランドからどのような影響を受けているのかわからなかったのですが、もしかしたら個人と社会との相互作用というような基本的な考え方が近いのかなと思いました。


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