【徹底解説】キャリア構築理論とは何か?(12)キャリア・カウンセリング・モデル:Savickas(2013)
クライエントのキャリア構築を支援するキャリア・カウンセリング・モデルについて今回はまとめます。サビカス先生が提唱するカウンセリングのモデルにはナラティヴ・アプローチの影響が色濃く現れているようです。
キャリア・カウンセリングの5つの目標
サビカス先生はナラティヴ・アプローチを重視してキャリア・カウンセリングを行っています。その上で具体的には以下の5つがキャリア・カウンセリングにおける目標だと168頁で述べておられます。
クライエントが自身の仕事人生や現時点の移行や困難に関する職業の物語を話してもらうこと
職業の物語を自身と仕事についてのアイデンティティの物語へと統合すること
その物語を利用して以降の意味を理解し感情を調整すること
職業上のプロットにおける次の展開に関する脚本を書くこと
より満足度の高い生活を構築するためにすみやかに行動すること
カウンセリングというとただただクライエントに話してもらってそれをひたすらカウンセラーは聴くということを想起されるかもしれません。しかしサビカス先生のいうキャリア・カウンセリングでは、クライエント自身が自らの物語を構築し次の一歩を踏み出すことを重視していることを留意しておくと良いでしょう。
クライエントが描写する3つのこと
では、クライエントが自身の物語を再構築して次の新しい一歩を踏み出すために、何を描き出すことが必要なのでしょうか。キャリア構築理論をベースにしたキャリア・カウンセリングにおいては、クライエントに以下の3つのことを描写してもらうことから始めるとサビカス先生は168頁で解説しています。
クライエントの物語の中で現在のエピソードから逸脱する出来事
クライエントの適応準備と適応資源
カウンセラーと共同構築したい新しいシナリオの目標
なお、上記の2で挙げた中にある適応準備と適応資源については過去に3回にわたって解説したのでおさらいしたい方は以下をご笑覧ください。
物語の力
サビカス先生はキャリア・カウンセリングにおいてクライエントの語る物語をとても重視しています。その理由について端的に述べている箇所があるので引用して終わります。
言葉とイメージによって構成される物語には、クライエントが自身のアイデンティティとキャリアを構築あるいは再構築していく力があるようです。だからこそ、クライエント自身に物語ってもらうということをカウンセリングにおいて大事にしているのでしょう。