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【読書メモ】非認知能力とは何か?:『非認知能力』(小塩真司編著)
心理研究の世界では非認知能力という言葉があります。これはnoncognitive abilitiesの訳語であり、直訳なのでそのまま伝わるかと思います。以前、全章をまとめた際にnoteでマガジンを作ったので代表的な15の非認知能力を知りたい方は以下をご笑覧ください。再読していて「まえがき」にも解説が書かれているので今回はそちらを読んでの感想を書きます。
非認知能力研究の隆盛
非認知能力という言葉が心理学の研究でよく見られるようになったのは比較的最近になってからのようです。
「非認知」という言葉は二一世紀に入ってから、とくに二〇一〇年代以降によく見られるようになってきています。
本書には詳しいグラフが載っているのですが、たしかに2000年代前半から徐々に増え始めて、2010年を過ぎてから一気に増えていることがよくわかります。
本書で扱われる非認知能力の特徴
冒頭でも書いた通り、本書では15の非認知能力が解説されています。その選定とも関連しますが、本書で扱われている非認知能力には以下のような共通点があると小塩先生は書かれています。
第一に心理学の中でも比較的さかんに研究が行われていること、第二に何らかの形で教育や人生において「よい結果をもたらす」可能性があるという研究が得られていること、そして第三に介入による変容の可能性が研究で示されていることです。
非認知能力は、変化しやすい状態としてではなく変化しづらい特性として捉えられることが多い印象です。しかし、上記の第三のポイントによると、本書で扱われている非認知能力は変容の可能性があるものであると指摘されています。
ということは、特性的なもの(trait like)という位置付けのものとも言えるのかもしれません。各章を読んでいくと、それぞれの非認知能力ごとに変容の可能性の度合いが少々異なるようですが、たしかに変容の可能性は示唆されています。
詳しく知りたい方はぜひ本書を手にとってみてください。最後まで目を通していただき、ありがとうございました!