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【論文レビュー】プロアクティブ行動とはどのようなもので何に影響するのか?:尾形(2016)

本論文は「原著論文」ではなく「研究ノート」なのですが、26ページにわたる大部です。その上、プロアクティブ行動の測定尺度の検証から、影響関係に関する実証研究まで扱われている濃厚な内容です。この論文が原著論文にならず研究ノートになるところに驚きを禁じ得ません・・・。

尾形真実哉. (2016). 若年就業者の組織適応を促進するプロアクティブ行動と先行要因に関する実証研究. 経営行動科学, 29(2), 3.

プロアクティブ行動の測定尺度

プロアクティブ行動の測定尺度は16項目・4因子構造で成り立っていると著者は報告されています。具体的には、第1 因子(以下の第1-4項目)は「革新行動」、第2 因子は「ネットワーク構築/活用行動」(以下の第5-9項目),第3 因子は「ポジティブフレーミング行動」(以下の第10-13項目),第4 因子は「フィードバック探索行動」(以下の第14-16項目)で構成されています。詳しくは以下の探索的因子分析の結果の表をご覧ください。

p.88

組織適応への影響

本論文ではプロアクティブ行動が何から影響を受けて、何に影響しているのかという両方を明らかにしています。まず何に影響しているのかですが、プロアクティブ行動が影響を与えるものとして組織適応を取り上げています。

著者は、組織適応についても探索的因子分析から丹念に検証されています。その結果として、組織適応は①役割社会化、②仕事社会化、③会社社会化、④離職意思、⑤情緒的コミットメント、⑥職業的アイデンティティ、⑦主観的業績、から構成されると結論づけています。

その上でプロアクティブ行動の下位因子から組織適応の下位因子への影響を分析し、以下のように報告されています。

  • 革新行動→役割社会化、職業的アイデンティティ、主観的業績

  • ネットワーク構築/活用行動→仕事社会化、会社社会化

  • ポジティブフレーミング行動→離職意思、情緒的コミットメント

  • フィードバック探索行動→役割社会化、離職意思

職務特性による影響

他方、プロアクティブ行動の先行要因としては職務特性個人特性を取り上げています。仕事と人という二つの側面から詳細に分析されているのも興味深いので、気になる方はぜひ論文をご覧になってみてください。

最後まで目を通していただき、ありがとうございました!

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