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【論文レビュー】キャリアについて探索したり振り返ることがキャリア・アダプタビリティや幸福度を高めます!:Ran et al. (2023)
本研究では、キャリア探索および自己内省が、キャリア・アダプタビリティや主観的ウェルビーイングを高める、という学生を対象とした調査に基づいた結果をレポートしています。それぞれの関係性にキャリア天職が媒介することも併せて報告してくれています。
Ran, J., Liu, H., Yuan, Y., Yu, X., & Dong, T. (2023). Linking career exploration, self-reflection, career calling, career adaptability and subjective well-being: A self-regulation theory perspective. Psychology Research and Behavior Management, 2805-2817.
全体像
本モデルの全体像を示すと以下のとおりです。
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モデル適合度は素晴らしく、いくつかのスコアを列挙しますと、カイ二乗=2.92、CFI=0.95、RMSEA=0.04、というなかなか良い値が出ているようです。
また、他のモデルの適合度を以下のように示していることから、今回のモデルの妥当性がわかりやすくなっています。
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SEMを見慣れている方はこの全体像をご覧いただければよくわかると思いますので以下は不要でしょう。以下では、4つの媒介効果に分けておおざっぱに言葉で説明します。
キャリア探索→キャリア天職→キャリア・アダプタビリティ
キャリア探索からキャリア・アダプタビリティへの値が0.34とそれなりの関係性を持っていることが示されています。それに対して、キャリア天職の媒介効果は0.04(=0.18✖️0.22)と低い値です。したがって、直接効果はわりとありますが媒介効果は限定的であるというイメージです。
キャリア探索→キャリア天職→主観的ウェル・ビーイング
以下同様にみていきます。キャリア探索から主観的ウェルビーイングへの影響は0.24です。他方で、キャリア天職を媒介すると0.03(=0.18✖️0.14)とさらに低い値になります。直接効果も低めで媒介効果も限定的、という感じでしょうか。
自己内省→キャリア天職→キャリア・アダプタビリティ
自己内省からキャリア・アダプタビリティへの直接効果は0.31です。キャリア転職を媒介するパスの効果は0.10(0.45✖️0.22)とやや低い値です。直接効果はそれなりにありつつ媒介効果はやや限定的という結果と読めます。
自己内省→キャリア天職→主観的ウェル・ビーイング
自己内省から主観的ウェルビーイングへの影響は0.10と低く、ここだけ5%水準有意になっていることも印象的です。キャリア天職の媒介効果は0.06(=0.45✖️0.14)と限定的です。ここの関係性はだいぶ低いですね。
最後まで目を通していただき、ありがとうございました!