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【読書メモ】構成主義的カウンセリングとは何か?(3/9):M・サビカス著『サビカス キャリア・カウンセリング理論』(第3章)

本章は、カウンセラーがクライエントとの「語りを通じてキャリアを共に構成する」(55頁)構成主義的カウンセリング(constructionist counseling)に関する説明です。理論とともにカウンセリングを重視するサビカスの姿勢は、クランボルツとも通じるものがあるなぁと感じながら読みました。

構成主義的カウンセリングでは、カウンセラーとクライエントとの対話による協働的な生成が重視されます。こうした対話によって、クライエントが自分自身を語ることによって、①理解、②一貫性、③連続性という三つの点を高めることができるとしています。

①理解

クライエントにとっての意味が対話によって生成されるということは、意味がクライエントの中に客観的に存在してそれを探し出すということではありません。クライエントはカウンセラーとの対話によって、クライエントにとって意味あるものを生み出すというプロセスです。

カウンセラーは、クライエントと対話をしながら、時に質問を投げかけたり、過去のある出来事に焦点を絞ることによって「クライエント自身が、経験と説明の間の断絶を縮めるという視点から意味を創造する」(57頁)ことを支援する存在であると言えます。こうして、クライエントは、生成された意味を理解することができます。

②一貫性

次の要素は一貫性です。通常、カウンセラーは、クライエントが持つ多様な複数のストーリーを組み合わせてナラティブを構成できるよう一貫性を高めるように支援します。一貫性を高めるために、ストーリー間のつながりに気づかせたり、キーとなりそうな言葉を反復するわけです。

他方で、時にカウンセラーはクライエントの一貫性を弱めることが求められることもあるとサビカスは指摘しています。クライエントによっては、自分自身のアイデンティティを過度に首尾一貫したものと捉えてしまっています。こうしたとらわれにより固執した考え方である場合には、クライエントが本来有する多様で複雑なストーリーに焦点を当てて一貫性を弱め、クライエントがナラティブを再構成するように支援することになります。

③連続性

一貫性がクライエントが有する複数のストーリーから意味を生成してアイデンティティを強化するのに対して、連続性は、自身にとっての意味を長期にわたって維持することをもたらします。つまり、一貫性が横に対する拡がりに対して、連続性は縦に対する拡がりということです。


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