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【読書メモ】エンプロイアビリティの要因とその影響についての実証分析:『働く人のためのエンプロイアビリティ』(山本寛著)第9章
山本先生の『働く人のためのエンプロイアビリティ』の第9章では、エンプロイアビリティ知覚が何から影響を受け、何に影響を与えているのかについて、第5章で開発した尺度を用いて実証研究を行っています。
エンプロイアビリティが影響を受けるもの
本章での結果によれば、正の相関としては二つの個人要因が明らかになりました。第一に、管理・監督職は非管理・監督職よりもエンプロイアビリティ知覚が高くなります。第二に、国際業務の経験の有無も、正の相関を与えることが実証されました。
他方、勤続期間はエンプロイアビリティのうちの外的エンプロイアビリティに逆相関を与えることがわかりました。これは肌感とも合う感じがしますが、一つの企業で長く働き続けるほど、組織外への移動が心理的に難しくなるようです。
エンプロイアビリティが影響を受けないもの
反対に、仮説では影響を受けると想定していたもののうち、学歴は、エンプロイアビリティとの関係性が見出せられませんでした。
エンプロイアビリティからの影響
今度は、エンプロイアビリティが何に影響を与えるかについて見ていきます。まず、影響を与えることが明らかになったものとしては職務満足とキャリア満足の二つが挙げられています。
他方で、仮説として想定されていた組織コミットメントと退職意思の二つについては影響関係が見出されませんでした。組織コミットメントには正の相関、退職意思には負の相関が想定されていたのですが、外的エンプロイアビリティのネガティヴな影響が内的エンプロイアビリティのポジティヴな影響を相殺したためであると著者は結論づけています。