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青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない

6月に公開された前作「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」が73分。およそ半年後に公開の本作が75分。2作合わせた上映時間は2時間半弱。エンドロール部分を1回で済ませれば2時間20分ちょっと。1本の作品として上映すべきものを分割公開して金儲けしようとした作品と批判されても仕方ないと思う。

というか、この作品自体も非常に中途半端な結末の作品だった。エンドロールが流れた瞬間、“えっ?これで終わり?”と思ったくらいだ。
そして、そのエンドロール後におそらくテレビシリーズと思われる続編の特報映像のようなものが流れて呆れてしまった。



原作の熱心なファンからすれば、この終わり方は何の問題もないのだろう。確かにヒロインの高校生活は終わったし、主人公と妹は母親との関係を修復している。でも、投げっ放しで終わってしまった謎も多く、1本の映画のストーリーとしては何も解決していないと言っていいと思う。



結局、今回の2部作って2019年に公開された劇場版と制作が決まった続編アニメをつなぐために必要なエピソードではあるが、1クールのテレビシリーズとして作るほどの内容はない。かといって、100分前後の映画としてまとめるには無理があるから、せこいやり方の分割上映での劇場公開作品にしたってことなんだろうね。



その構成のせいでテンポが非常に悪く、寝不足でもないのに見ていて何度もあくびが出てしまった。

とはいえ、クソ映画と言い切るほど酷い作品でないのも事実。

長男(第一子)と母親の微妙な関係は良く描けていたと思う。

本作における兄妹と母親の関係は当初、妹の方が兄より母親との関係が険悪そうに見えた。でも、兄妹と母親が久々に再会して以降は妹と母親は仲良しになり、逆に兄が疎外感を抱くようになっていった。それが原因で兄は特定の人以外には自分を認識してもらえない特殊な病気を発症してしまう。それは、これまで母親に対しても妹に対しても長男としての責任感から問題を解決しようと気配りしてきたのに、いざ問題が解決されると自分の努力が忘れ去られてしまっているわけだから、そりゃ、そうなるよねと思う。

ちょっと脱線するが、姿は認識されず声も聞き取ってもらえないのに、モノを触ったりできるのはおかしいよね。認識できない人からすると勝手にモノが浮いたり、ドアが開閉されたりするように見えるのでは?いい加減な設定だ。

話を戻そう。うちの妹も遥か前に精神を病んで一人暮らしをはじめたが、その背景には両親の離婚があり、母親との関係もうまくは行っていかなくなっていたというのがあった。
そして、その後、家計に関するかなりの部分を自分が負担することになった。ところが数年経つと、妹と母親はちょくちょく外で会うようになっていた。しかも、経済的援助もしているようだった。ぶっちゃけ、ふざけんなよって思ったしね。勿論そう思ったのには自分を構ってくれなかったというのもあったのだと思う。

本作はそうした、長男の母親に対する愛憎入り混じった複雑な関係の描写に関しては見事だったと思う。でも、映画としてはつまらないし、出来は悪いと思う。



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