【勝手に解剖学】盆踊り、テンポではなく、「間」で踊る?
こんにちは。
高尾可奈子です!
このところ、都内の盆踊り超愛好家たちによる盆踊りの会に参加させていただいています、、
盆踊りを愛する方々の踊りは素晴らしい!
魂込めて踊ることが、やはり盆踊りの起源にも通ずるし、人類が踊る根本的な目的にも通ずるし、、ポイントなんだなぁと体感しています。
さあ、今回は、盆踊りを紐解くポイント身体の構造を考えていきますが、、
構造的な解剖学というよりは、身体「感覚」的なもの、より主観的なリズムについて考えてみたいと思います。
(読みやすくするため、日本の正式名称ではなく西洋クラシックの広く知られた単語を使用している箇所があります。)
では、スタート!
リズムは、合わなくて当然だった!
盆踊りを踊っていると、テンポを合わせるのが難しい、、踊り手の動きのペースが微妙に違う、、?と気づくことがあるのではないでしょうか。
それは、なんでだろうと考えていくと、、
踊り手が専門・プロではないから?
振りを間違えているから?
と思うこともあるかと思うのですが、、
いえいえ!!!
もちろん、そういったことが原因になることもありますが、、
実は、
日本の踊り方の根本的な構造、日本的な身体観、拍子に対する感覚が、大きな理由なのかもしれません!
「間」という、凄いしくみ
盆踊りは、おおむね念仏を唱えながら跳躍して踊る、念仏踊りから始まったように、、
念仏→お囃子→音頭→音楽ありきですよね。
聴覚を通して、エネルギーを受け取って、霊魂を鎮めるためや楽しみのために身体を動かす、、
そのため、「音の捉え方」というのが、踊りについて考えるのに、重要なポイントとなります。
では、盆踊りで演奏される唄、流れる音頭はどのような構造になっているのか、どういった形で成立する音楽なのか、、
これらの唄、お囃子は、リズムとして演奏されるのではなく、「間」を取ることで演奏されているんです!
現代の音楽やダンスは、ほとんどがリズムミュージックやリズムダンスですから、それらに馴染み育った私たち現代日本人や海外の人にとっても、間とは認識が難しいかもしれません。
数値化出来ない「間」
例えてみましょう!
理解しやすくなるよう、少し表現が大げさになってしまいますが、、
音楽的なリズムで、
1、2、3、4 1、2、3、4 、、
という、カウント、拍子の表し方はよく知られていますよね。
このリズムで音を捉えるときに、
「1のときに手を上に上げてください。」
という指示を受けたら、どう動きますか?
楽譜で見てみると1の中にも時間的な幅がありますが、4から1に切り替わるその瞬間に手を上げ終えて止まる、、これがよく見られる動きですよね。
西洋的リズムであれば、拍子は瞬間で取る、、
その積み重なりが一定の規則を生み出し、リズムとなる。
グルーブのあるソウルやジャズであっても、1ではなく4でリズムを取ったり、音を強調することが多いため、基本は、、カウントで瞬間的に拍子を取ることのに変わりはないのです。
(ただし、音楽学者ツッカーカンドルの説より。人は体内に備わる振動子により、メトロノームのような何の分節も力動性もない音の羅列を聞くときでさえ、二拍子や四拍子に、山と谷を繰り返すパターンつまり時間波の構造を当てはめて聞いている。)
一方、
日本のクラシック的な音楽、民謡などは
数字化して規則正しく進むというよりは、感覚的な間合いを重視しているように感じられます。
先ほどのカウントで考えてみると、
2の長さと4の長さが秒数的に違っていたり、
感覚的にも全然違って聞こえたり、、
楽器や鳴り物の奏で方については、西洋的な五線譜ではなく、日本独特の書き方表示によって、演奏され伝えられてきました。
楽譜を見て全ての音の要素を読み解くというよりは、楽譜は補助に過ぎず、技は先人や師匠から真似る・盗むという考え方なのでしょう。
(五線譜の楽譜よりも、音声化により口承の方法はより、音の高さと長さだけでなく、細かなリズムパターンやエネルギーパターンをフレーズとして再現するのに有利である。)
ある程度は囃子方にも決まりがありますが、演奏者によって音の感じ方や表現に個人差があり違ってきますから、より時間軸的に自由度が高く広がりが生まれます。
それは、速度の正確さで瞬発的エネルギーを産むというよりは、時間的うねりの繊細で絶妙な変化によって渦のようなエネルギーを生み出す感覚です。
同じ音を出す、感じるという行為なのに、文化によって全く違う感覚をもってなされるというのは、面白いですね!
盆踊りは、間で出来ている!
渦のようにうねって流れていく音頭取りの唄、
そして、それに合わせて踊る、盆踊り。
その振り付けも自ずから、時間の進みが不規則な感覚的うねりのある節の取り方となります!
流動的であるから、一つの振りと次の振りの境目が曖昧なものに、、
そのためか、振りの最後のキレはあまりないように見えます。
動作から次の動作へ、流れるように滑らかに進んでいく、、
日本的な踊り方の大きな特徴の一つですね。
民俗舞踊や現代のライブにいたるまで、集団で踊り反復するリズムに身を委ねる時、没入の快感は宗教的陶酔さえもたらす。人間は意味のある時間フレーズを認識して、身体を同調できたとき快感を覚える。
間に意識を向けてみよう
現代では、流れてくる音楽は西洋的音楽で溢れ、学校で行われるダンスもリズムダンスや創作ダンスであったり、そうやって生活していると、自然と規則正しいリズムが自然に出てくるような身体性を持つように。
一見簡単そうに見える盆踊りも、意外と踊りにくさを感じて戸惑ってしまう人が、多いかもしれません。
そこで、「間」を意識しながら、振り付けを読み取って真似していくと、何か新たな発見があるかもしれませんね!
以上、今回の盆踊り解剖学は、、
感覚的な身体に注目してみました!
是非、盆踊り好きの方や、初心者の方にも、
さらに盆踊りを楽しむために実践していただければと思います!
高尾可奈子でした!