第104回全国高等学校野球選手権大会 第12日目 準々決勝展望
8月18日は高校野球の日だそうで。
そんな日に準々決勝だなんて、今年はアツい4試合が見られそうです!
では展望していきます!!
第1試合 愛工大名電(愛知)-仙台育英(宮城)
どちらも接戦となった3回戦を制し、投打ともに充実した戦力を誇る両者の対決となった。継投や代打なども積極的に使ってくる両チームなだけに、ベンチワークも試合展開を占ううえで重要になる一戦になるであろう。
実に元ソフトバンク監督の工藤公康氏がエースだったとき以来41年ぶり、愛知県勢としても13年ぶりの夏の甲子園ベスト8進出となった愛工大名電。プラス材料となるのは、有馬の復調といえるだろう。やや不調気味だった2回戦とは異なり、打たせて取る投球で明豊打線を封じ2失点完投。加えて、岩瀬、山田の強力リリーフ陣も温存させることができた。準々決勝では山田を先発にして、岩瀬ワンポイント、有馬ロングリリーフという戦い方も、面白いかもしれない。打撃陣では、6番市橋が3回戦で4打数4安打の大当たり。守備でも美技ともいえるジャンピングスローを披露。準々決勝でも攻守にキーマンとなりうる存在だろう。
初戦の2回戦とは打って変わり、試合巧者の明秀日立に対して、見事な逆転勝ちを収めて、3年ぶりにベスト8に進出した仙台育英。そんな逆転勝ちの秘訣は、今までの強打の仙台育英のイメージとは裏腹な小技を駆使したしぶとい攻撃といえるだろう。3回戦、0-2とリードされている3回裏、2番の山田に対して、須江監督はセーフティスクイズを指示。山田もそれを確実に遂行し、確実に1点をもぎ取った。長打力の無い中で、1点を確実に取りに行く野球が例年以上に浸透し、より洗練された攻撃力が愛工大名電のエース有馬に対しても通用するのかどうかに注目したい。また、どの投手もそつなく仕事をこなす投手陣の継投にも注目してもらいたい。
第2試合 高松商(香川)-近江(滋賀)
高校ナンバーワンスラッガー、浅野翔吾。高校ナンバーワン本格派右腕山田陽翔。2年生から甲子園の舞台を沸かせ続けてきた両投打のキーマンによる夢のような対決が、ついに実現することとなる注目必死のカード。
高松商は、実に52年ぶりのベスト8進出。大会前の目標はひとまず達成したものの、近江の山田に打ち勝ちたいと甲子園制覇へと上方修正しているに間違いない。3回戦で、勝利の立役者となったのが、エース左腕の渡辺和。キレのある直球が、強力九州国際大付打線の打者のバットの芯を外し、6回からはなんとパーフェクトピッチング。長尾監督に「今まで見た事が無い」を言わしめるほどの好投を見せた。ここまで2試合連続完投で疲労も心配されるが、ここまで浅野の影に隠れて力投を見せてきたエース。この試合でもピッチングに期待したい。2得点にとどまった打線は、5度のバント失敗と屈攻が目立つ結果に。まずは確実に打者を得点圏に進める野球ができるかがカギになる。
近江は、3回戦でもエースで4番、主将の大黒柱、山田がやはり大活躍。投げては沈むツーシームなど多彩な変化球を駆使しながらの7回1失点の好投、打ってはその7回裏に試合を決定づける満塁本塁打。疲れ知らずの大黒柱は、この試合でも活躍が期待されること間違いなしである。打線では、その山田の前を打つ2番清谷、3番中瀬に注目したい。2年生の清谷は小柄ながら、シャープな振りとたぐいまれなバッティングセンスで、大会を通じて絶好調。3回戦ではあわやランニング本塁打となる足の速さも見せつけ、高松商にとっては、山田を迎える前のやっかいな2番バッターといえる。3番中瀬も鋭い振りで好調。この二人でチャンスを拡大して、山田に託したいところだ。
第3試合 大阪桐蔭(大阪)-下関国際(山口)
両者とも、4年ぶりの夏の甲子園ベスト8進出。この夏も圧巻の強さを見せつけている大阪桐蔭に対して、下関国際の投手2枚看板がどういった策を練って、強力打線を迎え撃つのかが大きな焦点となりそうな一戦だ。
大阪桐蔭は、1回戦こそ苦戦したものの、2回戦以降は王者の力を見せつける貫録勝ちを続けた。特に、2試合連続無失点に抑えた投手陣。昨年、夏の甲子園で近江に打ち込まれた悔しさを持ってマウンドに立つエース川原は、昨年以上にコントロールにもまとまりが出て成長。力感の無いフォームにも磨きがかかった。2回戦で好投した2年生前田の登板も予想されるが、どのピッチャーが登板しても遜色なく抑え込む力があることは間違いない。守備陣の中で注目したいのが、3回戦の勝負所、ショートで見事な好プレーを見せた普段は控えの大前。打撃でも強い当たりを見せ、準々決勝でも出番があれば楽しみにしたい選手だ。2試合連続で決まっている初回攻撃で、この試合も勢いづきたいところ。
エース鶴田を擁して快進撃を見せた2018年以来のベスト8進出となった下関国際。試合のカギを握るのは、投手2枚看板の古賀と仲井の両本格派。古賀は、昨春の選抜、先発して初戦で敗れた悔しさを胸に、この夏の甲子園で先発を任された2試合は力投。球が少々荒れ気味ではあるものの、力強いストレートを主体にした組み立てで、左腕を伝統的に少し苦手にしている大阪桐蔭打線の出鼻をくじくことができればチャンスが広がる。1番ショートに座る仲井も、リリーフで投げた際には、最速146キロをマーク。2枚看板が粘りの投球をしていく中で、3回戦で当たりが多かった中軸の賀谷、奥山のいる強力打線が援護してくれるという展開に持ち込むのが理想だろう。
第4試合 聖光学院(福島)-九州学院(熊本)
どちらも、甲子園の舞台を経験する中で、成長してベスト8まで駒を進めてきたという印象がある。投打に中心選手が揃う中で、疲労感も残るだろう両エースの踏ん張りがカギを握る試合となるか。
1971年に磐城が準優勝して以来の51年ぶりの福島県勢ベスト4進出を狙う聖光学院。ここまでの躍進を支え続けてきたのが、エースの佐山。球速はないものの、キレ、伸びが抜群の質の高い速球は、簡単に打つことは難しい。また、縦に落ちる軌道のスライダーやチェンジアップも武器で、各打者がかなり苦戦している印象を受ける。3試合投げ続け疲労も残ることが予想されるが、1回戦で先発した小林剛にも安定感があり、準々決勝では先発もあるのではないかと予想できる。打線では、3回戦で本塁打を放った安田を中心に上位打線が絶好調。長打あり、小技あり、機動力ありと何でもやってくる打線は、相手にとって今日しか感じない打線ともいえるだろう。
12年ぶりのベスト8進出を決めた九州学院。ヤクルトのスラッガー村上宗隆の弟、村上慶太の話題が先行する中、3回戦で4安打完封勝利を挙げたのが、2年生エースの直江。少し腕を下げて投げるコンパクトなフォームから投げ込む伸びのある直球が魅力的。2回戦では、やや立ち上がりに難を残したが、3回戦で見事に修正。完封できるスタミナも兼ね揃えており、準々決勝での好投にも十分期待が持てる。大会前から注目を集めるスラッガー村上慶太も、チャンスで先制タイムリーを放つなど、兄さながらの勝負強さを発揮。5番松下、6番後藤にも、8回に適時打が飛び出していて、勝負強い中軸が力を発揮するかにも注目したいところだ。
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