読書感想文:ニュースの時間です。/シオドア・スタージョン
最近の邦訳版では河出書房新社から出ているシオドア・スタージョンの「輝く断片」(短編集)二収録されている一作品。
原題は、”And Now the News...”1956.12初出です。
スタージョンは、「英語と情事に耽っている」と評された評が、非常に有名になってしまった作家だが、この評はそれでも結構気が利いていると思うよ、彼らのような無骨な人種にしてはな。ちなみにこれは侮蔑ではない。それはともかく。
それはともかく、これはオフィスクレイドを手にして気が触れた男の、いや、気が触れてオフィスクレイドを手にした男の、正気の物語です。
なんでだろうなあ、スタージョンの物語はどうしてもこういった物言いをしたくなる。それこそが彼の持つ魔力なのかもしれない。
短編なので、話してしまえばいわゆるネタばれになるが、これを読んでそれを購入しようと言う人がいるとは思えないので、好き勝手に書く。
オフィスクレイド、気のふれた男、正気、幻肢症、詩、ニュース。
それらの要素が、男を形作る、正気であることが幸福とは限らない、正気に戻った男が何をするかがこの物語の鍵になる。
私にとっては印象深い作品。
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