読書感想文:電子の星(池袋ウェストゲートパーク4)/石田衣良
電子の星(本) 石田衣良 著
読んだ。
なんでだろう、軽快で読みやすい、という感想を抱く前にいつも「薄い」と思う。
何が薄いのかと聞かれると…読後感?
本の厚さの話ではないが、短編が折り重なった話で現代の池袋、ギャング、チーマー。
そしておそらくというより確実にこの本の読者は彼らではない。
作者自身が高卒ではないように、作者自身は彼らの世界をそんなに詳しく知っているわけではないのだろう、知っているのはむしろアンバランスに重なる音楽嗜好だ。
200パーセント(どういうパーセント)、この出自のこの年齢の若者は、この音楽を聴かないだろう。
読者と世界の接点がそこなら、物語はディスプレイの中だ。
切実だから、肉薄しているから最良だとは言えないように、薄いからこれが駄目な物語だとは言えないだろう。
摂食障害の女の骨のようにスカスカだと思うけれど、こういう文字でないと咀嚼できない世代もまた現実だ。
揚げたうなぎの骨のような物語はそう悪くない。
(2007 何故か4だけの感想が残っていた。もうちょっとマシなことを書いたはずだった1〜3のも探していたのだが無かった…。とりあえず出しておく。)
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