読書感想文:地獄の思想/梅原猛
地獄の思想
梅原 猛 著
地獄の思想を読もうと思っていて、その辺に積んでいたら本に埋もれて忘れていた(おい←2008年の話)。
何故読もうかと思ったかというと、「神々の流竄」が面白かったから。
1983年初版発行で、何回も判を重ねている。
というか、仏教の地獄思想がどのような系譜を辿り、今に生きているかを、源氏物語から平家物語、果ては宮沢賢治、太宰治まで辿って述べていて、面白いは面白いのだが、しょっちゅう「親父正気に戻れ」と思うこともしきり。
読んで面白いかというと掛け値なしに面白い、はっきりとした志向性のある研究書は大抵面白い。
ただ、好き嫌いはあるだろうから万人には喜ばれないだろうと思うが。
私は彼の思考にまったき賛同をする気にはなれないが(その後の碩学の人々の批判は知らずともだ)、確かに彼の思想には一顧の価値がある。
人の生にこそ地獄は体現される、だがそれはそれだけのものではない、世界は命の満る地獄、私もまたそう思ったことはある。
(2008/12 彼の著作はその真偽よりも、問題提起としての発想と情熱にこそあると言う気がしている。これを書いた時はまだご存命だった。)
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