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読書感想文:死都日本/石黒耀

死都日本について。
文庫化されているかどうか知らんのだが(そして調べてもない…)、微妙に分厚いかもしれない本で読み応えはあると思う、一応。ただ、普段活字(今は活字って言わないようだが)を読み慣れてないと辛いボリュームかもそれん。

「本書を読まずして、我らが大地に無自覚に佇むことなかれ…。」

確か、これが本書が刊行されたときの帯だったと思う、日本沈没以来のクライシスノベルとか言われてなあ。日本沈没は確か日本で始めてミリオンセラーになったSFだと言われたと記憶しているわけだが、確かに科学的根拠に基づいて「起こりえるかもしれない未来」を描き出すのがSFのひとつの特徴なら、日本沈没も死都日本もSFかもしれん。

話がずれたが、帯は格好いいと思う、そして内容を的確に表しているとも。

世界有数の火山国日本で何が起こりえるか、それを想定して被災を描き出した小説としては本当に良い出来だと思う。ラストには(言及しない)不満のある方もいるようだが、この本の魅力はラストではないような気もする以上、その点については、私は触れない。本当は災害に大団円はありえないと思うけれど、小説には大団円が必要であると思うからでもある。

内容を書かずして良くこれだけ語れるなという感じですが、死都日本は「火山災害を想定した災害小説」である。ジャンルとしては、一応そうだ。 

(2006/4 火山、地震国である日本を想定しての火山噴火パンデミックノベルだった。この数年後、火山噴火ではなく、東日本大震災が起こり、あらゆる意味でこの小説は埋もれたような気がするが気のせいだろうか。地震ではあるが、津波ではなく、時期がずれ、津波で起こる状況とも当然想定は違った。だが、脆弱な日本の地盤に不安があるのは多くの人間がそうだったのだと思う。)



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