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読書感想文:ナインスゲート/アルトゥーロ・ペレス・レベルテ

個人的にレベルテ祭り(気分が)なので、「呪のデュマ倶楽部(映画化後:改題「ナインスゲート」)」を。

人を選ぶとは思いますが、個人的には面白かった、アラトリステよりしつこく読んだくらい(気に入った本ほどゆっくり読む性格)。

推理小説でネタばれをしていいのかはともかく、ネタばれにもならないというか、この日記で「ネタばれ禁止!お勧め推理小説」を求めている人はいないだろうからいいか~と思ったりとか、まあ思うことはありますが、とりあえずアレクサンドル・デュマが好きな人には一読の価値あり、あと同時に黄金の夜明けとか国書刊行会関係の本が好きなら余計にお勧め。

物語としてはそんなに難しくないけれど、デュマのペダントリー部分が必要ないと言う人の気持ちは分からない、あれあってこそ!と思うのだけれども、ちょっとだけ残念なのが、デュマのよく出来たパロディ小説の部分が、どうしても設定上「よく出来たパロディを演出する」形態をとらざるを得ないところ。
あれがもっとごく自然発生的に両軸が重なったらもっと楽しかったろうけれど、それだとあまりにも不自然な状況設定になって、不可能だったかなあ。

デップが惚れ込んでポランスキーが映画化したというけれど、デュマの部分はさっくり捨てられているらしいから、ちょっとそれは見る気がしないかも。
別物としてみる分にはいいかとは思うのだけれど。

もー、現代のミレディさんにはどきどきしましたよ、あれは最高に素敵な場面だった(自分だけ分かっている感想)。

物語の軸として1本ではなく2本の軸を設定するのはむしろ正統的な常套手段で悪くないと思いますが、最後の混ぜ方がちょっと微妙といえば微妙だったかな。
しかし、モンテ・クリスト伯や三銃士を寝食忘れて読み漁ったころを思い出しました。
と言っても日本に「デュマ倶楽部」あっても入会しないけど。

それにしても邦題は趣味悪いね。
ナインスゲートも芸がないけど、「呪のデュマ倶楽部」は、本気で最低題名でした、こんな最低の題名誰がつけたんだ…。

(2008年頃の呟きから)

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高梨 蓮
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