交流深めるボードゲーム 「軽量級」増え平均単価は下落
世の中の様々な値段がどうやって決まっているのかを解き明かす「値段の方程式」。きょうのテーマは「交流深めるボードゲーム タイパ重視で平均購入単価は下落」です。ボードゲームというと昭和世代には「人生ゲーム」や「野球盤」などが思い浮かびますが、愛好家が多いのは「モノポリー」や「カタン」といった海外発のボードゲームです。物価高が進んでいる中、ボードゲームも素材の紙やプラスチック、輸送費などが上がっており1つ1つの商品は値上がりしています。一方で消費者の平均購入単価は下がっています。大手玩具店の「駿河屋」が調べた平均購入単価によると、2022年は2925円。2018年と比べると1割下がっています。
ボードゲームの市場規模は拡大中
市場規模が縮小しているためでしょうか。いえ、違います。市場調査会社の矢野経済研究所によると、ボードゲームを含む「アナログゲーム」の市場規模は2022年度(見込み)で112億円となっています。コロナ禍前の2018年度に比べ6%増えています。国内で毎年200種類の新作ボードゲームが作られていることも、市場拡大を裏付けています。
市場拡大の一方で、平均購入単価が下がっている背景には、「軽量級ゲーム」といわれる商品の増加があります。ルールが簡単で、プレー時間が短く、低価格なものを指します。この特徴がいわゆる「タイパ(=タイムパフォーマンス)」です。「時間対効果」がよく、タイパを重視する若い世代の需要にマッチして人気が広がっています。2000〜3000円台という比較的手頃な値段の「軽量級ゲーム」が増えて平均購入単価が下がっている、という構図なのです。
番組で紹介した軽量級ゲームの一つがビバリーの「対戦パズルゲーム 清少納言VS紫式部」(写真は中)。いろんな形のパズルを組み合わせて、誰が一番早く指定されたシルエットを作れるかを競います。2〜4人で遊べて1回のゲームは10分ほどで終わります。ルールが簡単で直感的に遊べるようになっています。
若者で賑わうゲームカフェ
渋谷のボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」渋谷2号店を取材してきました。480種類のボードゲームを取り扱っています。
店員の方は「初めて来るお客様とかボードゲームをたまにやるお客様などライト層の人が増えています。短時間のゲームとかコミュニケーションゲームが増えている印象です」と話します。価格については「いわゆる制作費が上がっているので、個別のボードゲームの値段が上がっていることはあるが、軽量級ゲームが増えているという点では(平均的に)安くなっている」。
せっかくなので、お店で遊んでいた大学生に混じって、文字数指定と持ち時間がある「しりとりゲーム」で遊んでみました。30歳以上歳が離れた20歳の大学生を相手に我を忘れて本気で遊んで、勝っちゃいました!
今回取材した店舗は平日はワンドリンク付き、最大5時間遊ぶことができ1800円(税込み)。割安な料金設定で学生も多く来ていました。リアルに遊ぶのとオンラインで遊ぶのと、どっちが楽しいですかと聞いたところ、「絶対こっち(リアル)ですよ」と口を揃えていました。
なぜ今、ボードゲームが人気になっているのでしょうか。新型コロナウイルスの沈静化の伴い、リアルな交流を楽しむツールとして注目されています。特にオンラインで授業を受けていた学生の方に人気があるようです。相手の表情や身ぶり、息づかいを感じながら、ゲームを通してコミュニケーションを取ることができるので、初対面でも会話を楽しめる、という点も魅力の1つですね。
きょうの方程式です。
ボードゲームの平均購入単価下落=リアル交流増え軽量級需要↑
取材したボードゲームカフェでもコロナの沈静化に伴い売り上げは伸び続け、2021年〜2023年までの2年間で80%以上増えているようです。遊びのツールとしてだけでなく、防災を学べるボードゲームが学校の教育に取り入れられた例もあるようです。グループの1人だけがルールを知っている状態で他のメンバーに口頭でルールをうまく伝えられるかなど、プレゼンやコミュニケーションの強化に使っている例もあります。
ゲーム形式で楽しみながら学べるということで、生徒も関心を持って授業に取り組めていたようです。また、短時間のゲームをすることで、物事の考え方や、コミュニケーション能力が測れるとして、採用活動や社員研修にボードゲームを活用する企業も増えているなど様々な広がりが見られそうです。