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Web制作会社の創業から10年間経営に関わって学んだ、制作ビジネスで会社を長く存続させるために大切なこと。

私がWeb制作会社の創業から役員として経営に関わって、10年以上が経ちます。

Web制作業界とは無縁な方がオーナー社長となり、立ち上げた会社なので、ほぼ私一人で会社の運営を行っています。
(資金繰りなどはしていませんので、本当の社長さんからしたら、経営しているなんて言えないだろ!と言われるかもしれませんが、そこはご容赦ください)

最初は経営に携わるという自覚はなく、一人の制作者として関わったつもりでしたが、知らない間に一人で社員や売り上げの管理から、実務以外の社会保険の手続きまで色々と任されるようになっていました。

そうすると、今まで社員として、現場で制作のディレクションなどをしていた時と、全く異なる視点から制作ビジネスを捉えるになりました。

クリエイティブな業界という印象が強い制作業界ですが、ビジネス・経営という視点で見た際に、大切なことはまたちょっと違います。

この記事では、Web制作会社の経営に携わってみて、会社を継続させることの大切さと、しのために大切だと感じたことをまとめてみました。

あくまでも私の経験に基づく主観ではありますが、これからWeb制作会社を立ち上げて独立したい、と考えているような方の参考になると幸いです。

制作ビジネスはクリエイティブよりも効率化が命!

制作ビジネスは、受注したら金額云々よりも、お客様に最高の作品(Webサイト)を提供することが使命だ、とおっしゃる方がいます。

私もその意見には同意しますが、ビジネスという視点で捉えると、いかに制作業務を効率化させて、うまく人を動かすか、ということの方が大切だと思います。

Web制作にかかる費用は、ほとんどが人件費です。
もちろん、写真やイラストなどの購入する材料費がかかる場合もありますが、概ね人件費です。
材料を仕入れて、加工して売るような仕事ではありません。

「時間=お金」なのです。
「クリエイティビティー=お金」には必ずしもならないのです。

ですので、社員にはなるべく効率よく、無駄な動きのないような指示を与えることが非常に大切になってきます。

よく、制作管理をするディレクターを雇って、自分は完全に経営のことのみ、現場はノータッチという社長さんもいますが、小さな制作会社であれば、社長もしくはナンバー2くらいの方が、きちんと管理したほうが良いでしょう。

作業をさせないと勿体ないとか、社員を管理したい、ということではなく、限られた勤務時間の中で、無駄な作業をなくし、効率よく動いてもらえるためには必要なことなのです。

後述しますが、それが結果として社員にとって、働きやすく継続して勤務してもらえる環境作りにもつながります。

社員が継続して勤務してもらえる労働環境作りは一番大切。

私の会社では、今いる社員は全員、勤続年数が6年以上です。
スタートメンバーは全員辞めてしまいましたが、初期の頃から10年くらい継続して勤務してくれている社員もいます。

今まで社員として会社に勤務している時は、誰か人が辞めても、引継ぎが大変だなあ、くらいにしか思いませんでした。

しかし経営側に回ると、辞めた社員の代わりに新しい社員を採用するために求人を出して面接をする必要がありますし、社会保険の手続きなど、実務以外の手続き業務などがたくさん発生します。

小さな会社だと、こういったことも一人でやらないといけません。

なにより、新しく採用した社員との関係性の構築、他の社員との連携などすべて一からやり直しになるのが、かなりきつい。
制作の進め方は人それぞれ、会社によってもそれぞれです。
人によっては反発して、すぐ辞めてしまう方もいますし、やり方に馴染めないので辞めてしまう人もいます。

せっかく会社に慣れてきた社員はずっといて欲しい。
経営に携わると、より節に思います。

ですので、社員が辞めにくい、居心地が良いと感じてもらえる労働環境はすごく大切。

給料面はもちろんですが、こういった面においても、作業を効率化し、定時には帰らせるようにすること。
最近の若い人は、というわけではありませんが、昔の制作業界みたいに残業や徹夜は当たり前なんていう世界で働きたい人はいなくなってきています。

案件が多く忙しいのは良い事ですが、社員に無茶をさせすぎて、人の入れ替わりが激しい会社は長続きしません。
(いや、している制作会社もありますが、ブラック企業と言われていますね)

社員はできれば最初から雇った方が良い。

個人的には社員は最初から雇った方が良いと思います。

外注すると、発注のタイミングによって対応可能な時期なども変わりますし、フットワークよく対応することができません。
即日の対応なんかも、よほどツーカーですぐに対応してくれる外注先があれば良いのですが、そういうコネもない場合は、社員がいないと難しいでしょう。(現に私はそうです)

もちろん、社員を雇用するということは、仕事がなくても給料を払ったり、社会保険の負担など固定費がかかります。

しかし、外注すると売り上げの6~7割を外注費と仮定しても、案件の件数や対応内容によっては、社員を雇った方が、人件費を差し引いた利益が多く出ることもあるのです。

Web制作の仕事は、新規の制作案件だけではなく、日々の修正業務などのメンテナンス業務もあります。
細かい対応というのは、外注するよりも社員を雇って、その場その場で対応してもらった方が効率も良いですし、利益率も高くなります。

おまけに対応スピードが速ければ、顧客からの評価も上がり、受注案件数も増える可能性だってあります。

指示を出す手間も、外注先に指示書などを作って指示するより、一緒に画面を見ながら話せた方が早く、効率が良かったりするのです。

創業して売り上げもない状況だと、雇用をするのは非常にシビアな問題ですが、社員は雇った方が効率良いということは確かです。
自社サービスを展開したいと考えているのであれば、なおさら社員はいた方が良いでしょう。

雇用する社員数は必要最低限の人数で。

創業して2年目くらいに、オーナーの判断で社員数を増やしたことがありました。

当時は受託案件もない中で、私としては正直不安しかありませんでしたが、オーナーの経験上、勝負する時に人を一気に増やして、仕事の受注率を上げるという人海戦術に打って出た方が良いとの判断でした。

しかし、結果としてはそれがまったく功を奏さず、ほとんどの社員が退職してしまうことになります。

制作ビジネスにおいて、ディレクターやデザイナーを集めても、営業や売り込みができないと、案件は勝手に入ってくるわけではありません。

自分が前に出て営業をして、受注した案件を回せる範囲の社員数が一番長続きします。

私の会社では、現在ディレクターという役職の社員はいません。

ある程度の制作進行上の報告や連絡といった顧客とのやり取りは、デザイナーでも出来ますし、あえて制作進行をするディレクターを採用する必要はないと考えました。

現在は、私が提案から受注までのやり取り、制作の管理進行までをやっています。小規模な修正などであれば、顧客とのメールのやり取り含めて、デザイナーに任せてしまいます。

無駄に社員を雇用せず、自分が対応できるのであれば、自分も動く。

よく人に任せなければ会社は大きくならないと言います。
たしかにその通りなのかもしれませんが、小さなWeb制作会社であれば、経営陣自らが率先して動くことが大切だと思います。

中小企業の社長さんで、すぐに組織を組み立てたくなる方もいるようですが、個人的にはミニマムで継続していく方が、会社は長続きしやすいような気がします。

会社の規模を大きくしていきたい!というのであれば話は別ですが・・

大手企業との取引を狙うなら、オフィスは大切。

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