バッター液の牡蠣フライでマダガスカルへ思いを馳せる
牡蠣フライは自宅で出来立てを頬張るのが一番好きなんですが、作るのが面倒。そこで、通常より1ステップ少ない2ステップで作る方法を試しました。
通常は、粉→卵→パン粉で揚げるところ、卵入り溶液(バッター液)→パン粉で揚げるというもの。たった1ステップの削減ですが、かなり楽に感じられます。これ、おススメです。
さて、今日は牡蠣で思い出すマダガスカルのお話。牡蠣が出てくるまで長文になりますがお付き合い頂ければ幸いです。
2007年元旦から10月半ばまでアフリカ大陸を旅している中でマダガスカルを訪れたのは4月下旬から1か月半。
首都アンタナナリボの日本人経営の旅行代理店に大きな荷物を預かってもらい、国内を「タクシーブルース」と呼ばれるトヨタハイエースを改造(改悪)したバスで移動しての旅でした。
タクシーブルースは20人くらいお客さんを詰め込んで走る公共バス。ぎゅうぎゅうに詰め込まれて3時間も4時間も揺られて目的地に行く旅はかなり過酷でした。日本の1.6倍の面積を持つ大きな島ですから、見どころから見どころへ移動するのにとても時間がかかるんですねぇ。タクシーブルースと呼ばれる由縁はわかりませんが、今思い出してもブルースの短調の響きと哀愁に満ちたメロディーがぴったりだなぁと思う乗り物でございます。
そんな過酷な公共バスの国ですが、首都アンタナナリボは当時でさえそれなりに発展している街でした。
中心街はヨーロッパ調の駅舎から市場までまっすぐに伸びる独立大通り界隈。銀行、ショップ、レストランが立ち並び、人通りも多くて賑やかな雰囲気です。大通りの一番奥にある市場の両側は丘になっていて、駅を背にして右側の丘にはフランス大使館や高級ホテルもあって山の手の雰囲気。安宿ですが、その界隈に宿をとった我々はアンタナナリボ滞在中は丘から大通りまで降りて、買い物をしたり食事をするのが常でした。
街を歩いている人は大半がマダガスカル人だと思うのですが、どう見ても半分は黒人寄りの人種、半分は東南アジア寄りの人種の二種類が同じ国にいる感じでした。調べると、紀元前350年から紀元後10世紀くらいにかけてアウトリガー付カヌーでボルネオ島から人々がやってきて現在の首都近辺の中央高地で稲作を始め、その後、東アフリカから移民が入ってきて西側海岸部に王国を築いた歴史があるそうなんです。両方の民族が混血してマダガスカル人となっていったとwikipediaには書かれていますが、あまり混血している感じはなくて、首都には二種類、沿岸部には黒人の一種類しか見なかったという記憶があります。
17世紀から19世紀にかけて、中央高地に住む東南アジア系のメリア人がほぼ全島を統一して政治経済の中心を担っていったという背景からか、首都を歩く東南アジア系はビジネススーツ姿が多く、黒人系はブルーカラーの服装の人が多い印象でした。
首都アンタナナリボはそういうバックグラウンドから、多彩な食文化を楽しめました。東南アジア系の背景からは朝のお粥屋台、サテーのような焼き鳥風の牛肉串焼き、アフリカ系からは焼きバナナやキャッサバの葉のスープ、フランス植民地の背景からはバゲットのサンドイッチやクロワッサン。
中でも美味しいクロワッサンが買えるパン屋さんがあり、我々は毎朝通っていました。年初にエジプト、そこからケニアと非クロワッサン文化圏で過ごし、マダガスカルからケニアに戻ってからは再びイギリス食文化圏に戻る事を思うと、この貴重なクロワッサンを毎日食べなくてどうするのだ!という思いが強かったんです。
この毎朝の独立大通り通いの中、時々ゲリラ的に見かけたのが「朝の牡蠣売り」だったのです。
こんな朝っぱらから誰が牡蠣を買うんだろうかと疑問だったのですが、ある日、ビジネススーツに身を包んだ東南アジア系の小柄な紳士が黒人系牡蠣売りの前に足を停めるのを目撃したのです。え?こんなビジネスマンが?と思っていたら、牡蠣売りはおもむろにナイフを取り出しカパッと牡蠣を開けてジュワッとレモン汁をかけて紳士に手渡しました。紳士は手に持っていたアタッシュケースを地面に置くと、慣れた感じでちゅるっと生牡蠣を召し上がるではないですか!パカッとあけてジュワッとかけてちゅるッと食べる。この行為を繰り返すこと数回。紳士は食べ終えるとアタッシュケースを持って颯爽と去っていったのでした。
なんという事でしょう。朝の牡蠣はその場で食する物だったんです。朝、コンビニに寄ってドリンク剤を買って飲むみたいな感じ。想像の斜め上をいってました。以来、我々も食べてみたくてチャンスを狙っていたのですが、国内旅行にでかけるまで牡蠣屋を目撃できませんでした。もう無理かな思っていたのですが、国内旅行から首都に戻って残り少ない数日を過ごす中で巡りあって食べる事ができました。
超小粒な牡蠣なので一人6つくらいは食べられちゃいました。因みに当時は12個で30円くらいでした。新鮮でコクがあって旨い牡蠣。これで24時間働けます(古っ!)。牡蠣というと思い出すエピソードの一つでした。
さて、それでは2ステップで作る牡蠣フライの作り方のご紹介です。
参考にしたのはaosトラットリアのレシピ
【旨み爆発】ビッグなカキフライ。牡蠣の爆弾揚げ【 料理レシピ 】
https://www.youtube.com/watch?v=knEU5IfmS-E
レシピ動画では小さな牡蠣をいくつかまとめていますが、私は一つずつにしました。またバッター液にパルミジャーノ、衣にハーブミックスを入れていますが、私は入れませんでした。それでも十分に美味しかったです。
★ 『バッター液の牡蠣フライ』
<材料 2人前>
牡蠣 400g
バッター液
―薄力粉 大さじ8
―卵 2個
―水 大さじ1~2パン粉 適量
揚げ油 適量
レモン 適量
<作り方>
牡蠣は軽く洗ってキッチンペーパーで水気をとる
バッター液の材料をボールに混ぜ合わせておく
牡蠣をバッター液につける
3にパン粉をしっかりと押し付けるようにつける
170度の油に4を入れて1-2分(牡蠣の大きさによります、今回は小さめの粒でした)揚げる
引き上げて余熱で3-4分火を通す
全部揚げたら、180度まで油の温度を上げて1分揚げる
ソース、醤油、タルタルなどお好みの味で召し上がれ
二度揚げする事で最後までカリッとした衣を楽しめる牡蠣フライ。食べてすぐから、次はいつ作ろうかと思ってしまう旨さです。次回はレシピ通りにチーズやハーブを使ってもいいかも。
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