親友がしばらく旅に出るというので
ここ数ヶ月、ほとんど毎週のように顔を合わせていた僕の親友が、しばらく旅に出るというので、直接見送りにはいけないけれど、この文章を彼の旅が始まるという数時間前に書き始めた。
彼とは実は昨日も会っていて、その時に「ちょっとお互い徹夜はしんどくなってきたよね」という話をしていたけれど、これは我ながらいい夜更かし。
だと思う。
彼のことを少し紹介させてください。
半目(ん、閉じてる?)でも素敵な写真の彼は、一昨年くらいまではオーストラリアにしばらく住んでいたというユニークな経歴の持ち主で、今はわけがあるのかないのか知らないが、フリーターをしている。
ちなみに先ほど、同い年のような書きぶりをしてしまったが、彼は僕と5つも歳が離れている。
半年ほど前から僕が参加した、高校生を対象にした教育プログラムに、彼も同じくインターンとして参加していたのが出会い。
今では毎週のように会って、ご飯を食べたり、サウナに行ったりしているし、時々旅行に行ったりもする仲になった。
こないだなんかは僕の家の引っ越しも手伝いに来てくれたし、お互いの両親にも会っている。
他の友達からは呆れられるくらい、色んな意味で距離が近い。
そんな彼は、今日から四国八十八箇所をめぐる、いわゆるお遍路さんの旅に出るらしい。さっき調べたら道のりは1400kmにもおよぶという。ちなみに彼にはあんまりお金の持ち合わせはない。決して楽な旅ではないだろう。
昨日会ったら、頭を丸めていた。ちなみに結構似合ってる。
今回の旅は、彼自身、明確な目的があって行くわけではなく、「とりあえずお遍路をやってみたい」ということらしい。
僕には「とりあえずお遍路」に行きたくなるタイミングはこれまではなかったし、そしておそらくこれからもきっとないので、共感はできないけれど、彼の言いたいことはなんとなく分かる。
実際、昨日会った彼は「まだ実感が湧かない」と言っていたが、とてもワクワクしているようで、これからしばらく会わなくなるというのに、全然心配させてくれなかった。
この笑顔である。
手段や気持ちが先にあってもいい。
厳密な計画を立てて、それに沿って行動しなくたっていい。
彼は1週間前に、「よし、行く!」と言い出して、今日から本当に行ってしまう。行きやがる。
思えば、彼と過ごす時間もいつも大体そうだった。
旅行の時は2人が行きたいからそこに行くし、普段遊ぶ時も会ってから動き方が決まることが多い。(大体ラーメンとサウナだが。)
空いた時間はその後で自然に埋まっていく。
「とりあえず会おう」が成り立つ関係がすごくありがたい。
そこにはすでに安心と信頼のおける余白とがあって、僕たちはそれを適当に楽しみながら埋めていくだけだ。
彼はこの数ヶ月間、最も一緒に居た時間が長い友達であると思う。
きっと彼とはこれまで通り、話そうと思えば何時間でも話せるし、居ようと思えば何日でも一緒に居られるだろう。
でも、あえてそこを離れて、少しお互いが、それぞれの時間を過ごすことにも、なぜか僕までワクワクした気持ちでいる。彼の気持ちがうつったのかもしれない。
めちゃくちゃ応援してるけれど、なぜか自分も勇気づけられている、っていう不思議な感覚。
楽しみは2倍。
彼が旅先でどんな体験をして、どんな風になって帰ってくるのか。
その間、僕は僕でどんな時間の過ごし方をするのか。
分からないのが面白い。
この感覚もなんだか久しぶり。
髪の伸びた彼とまたゆっくり話ができることを楽しみに、
彼の帰りを気長に待っていようと思う。
気をつけて、行ってらっしゃい!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?