暗いところと安心感
みなさんは、トイレの電気をつけますか。
わたしは大人になってから、電気をつけずにトイレに入るようになりました。これだと言う理由は特になく、なんとなく落ち着くから。最近はそれに味を占めたのか、ハミガキをしているときも部屋をまっ暗くするようになりました。
多くはないかもしれませんが、こういう人って一定数いると思うんです。ここまで極端でなくても、夜の散歩が好きとか暗めの部屋が居心地がいいみたいな話はそれこそよく聞きます。
どうやらわたしたちは暗さの中に落ち着きを感じているようです。
しかしこれって、ちょっとおかしな話のような気もしますよね。
人間がまだ狩りをしながら暮らしていたころ、夜は恐ろしいものだったはずです。凶暴な動物やほかの人間に襲われる危険性があるなか、早く明るくなることを祈りながら眠ることも多かったでしょう。基本的に夜や暗いところは警戒心が高くなる、落ち着くような場所、時間ではないものでした。
ではなぜ現代人は暗さを好むようになったのでしょうか。
命の危険性が少なくなったとか進化学的な話とか、いろいろな理由があるのでしょうが、わたしは人間が自然の中で生きてきた名残なんだろうなと思っています。
本来、夜は暗いものでした。襲われる心配はあれども、それは一日の半分必ず訪れる、いわば生き物が生きる上での前提のような事柄です。しかし、人間が生み出した明りによってそれが覆ってしまいました。いつでも明るい場所にいれることも、実は人が生きる上で心休めることのできない要因なのかもしれません。
わたしは研究者ではありませんので、本当のところは分かりません。ただ、暗いトイレは意外と落ち着くし、明かりを消してどこを見るともなくハミガキをするのも心地よいです。
これを読んでくれたあなたも、今日は電気を消してトイレに入ってしまうかもしれませんね。