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浜松、古くて新しい町を歩く。

朝目覚めた時、一瞬ここがどこだか分からなくて。
「ああそうだ、昨日の夜、浜松までやって来たんだった」と脳がゆっくり、ぼんやりと認識する。

身支度をして、ホテル近くの喫茶店へ。
"モーニング"って響きだけで、なんだかワクワクしてしまう。

深煎りのコーヒー。
粋庵さんでのモーニング。

朝ごはんの後は、念願のコーヒーショップ ミハルさんへ。
店員さんのお知り合いが手掛けたというステッカーや内装、カウンターのメニューも、何もかもがとにかく可愛らしくて。
「かわいい…」心の声が思わず溢れて止まらない。

色味が可愛すぎる。
お店の入り口。
コーヒーチャート。
メープルラテをテイクアウトで。
カウンターの模様までもが可愛らしい。

お店の方との会話のなかで、浜松市内のおすすめのお店をたくさん教えてもらった。
SNSやGoogleMapと睨めっこしているだけでは見つけられなかった、その町の暮らしと結びついた"何か"に出会う。
やっぱりこれは、実際に自分の足で歩き旅をする醍醐味であるとおもう。

教えてもらったお店の中から、お昼に一軒のカレー屋さんを訪れた。

カウンターの黄色いタイルも食欲をそそる。
入るのにちょっぴりどきどきする、半地下の店内。

小さな路地を入った先、中があまり見えない半地下への入り口。
教えてもらわなかったら、このお店に出会うことはなかったかも…。
スパイシーだけどサラッとして食べやすい、銀皿にたっぷり盛られたカレーライスを味わいながら、しみじみとそう思う。
「ミハルさんに教えてもらって来たんです」
お店のお兄さん二人にそう伝えると、
「ああ!ミハルとうちは助け合いの関係だから!」
と二人は顔を見合わせて楽しそうに笑った。

いいな、そういうの。
顔見知りのあの人と、この人がつながって。
この町で自分のペースで、おもしろく、自分の好きなことをして、自分らしく生きようとする若い方々のパワーに、なんだか心が熱くなる。

お昼を食べた後は、ミハルさんで教えてもらった書店へ。古いビルの階段を上がっていくと、各階で素敵な雑貨屋やギャラリーがお店を営んでいた。
書店で、真っ赤な表紙が印象的な高橋ヨーコさんの写真集を購入。
とても古めかしいビルなのに、一歩中に足を踏み入れると個性的でスタイリッシュなお店も多い。
なんだか時空の歪みに迷い込んだような、不思議な印象を受ける建物だった。

階段を上がると現れる、書店の入り口。

不思議なビルの外に出た時には、朝からの曇り空が一転、あたたかな太陽と青空が顔を出していた。
なんだか本当に、時空を飛び越えてしまったみたい。
本来ならばもう帰らなければいけない時間だけれど、もうちょっとだけ!と車を走らせ中田島砂丘へ向かう。

車を降りると、そこには一面の砂の丘が広がっていた。
海からの風が心地よく吹き、砂の上には風紋が波打って。
砂浜をダッシュする野球少年たちを横目に、砂に足を取られながら、懸命に丘のてっぺんを目指す。

砂浜ダッシュする少年たち。

丘の向こうには、まだまだ続く砂浜と、青い海が広がっていた。
まだまだ冬は続くのだけれど、なんだか、春が近い。
刻一刻と、春が近づいている。そんな予感で胸が満たされていく。

青い太平洋を望む。
遠くに、ミニチュアみたいな町が見えた。

こうしてわたしたちは浜松を後にし、東へと車を走らせる。
帰りのサービスエリアでは、念願のしぞ〜かおでんを見つけて、お腹いっぱいなのも忘れてついつい食べてしまった。

熱々のおでんが冷えた身体に沁みる…

ぴったり24時間。
あっという間だけれど、なんだかちょっぴり特別な週末逃避行。

たった一日と少しの間に、ずいぶん遠くまで旅をしたような気持ちになる。

どこの町にも、必ず誰かの暮らしがあって。
わたしはそこにそっとお邪魔しては、またそっと離れて。
こうして旅という行為を繰り返しているんだなあ、と思ったりする。

好きだな…とじんわりおもう町がひとつ、またひとつと増えていくこと。
これは紛れもなくひとつの"しあわせ"と言えるのかもしれない。

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