おつきさまこんばんは
中秋の名月、見事でしたね。
以前、フルーティストの吉川久子さんが、日本人は月というと満月を思い浮かべる人が多いけれど、ヨーロッパの人は三日月を連想する人が多い、と聞いたことがあります。
そう言われてみれば三日月をかたどったクロワッサンは世界中に広がっているけれど、満月パンというのは聞いたことがない…
ですが、その辺りは調べてみたことがありません。
月のお話は数え切れないくらいありますね。
古くはかぐや姫もそうですし。
美しい満月に薄い雲が掛かっていたりすると、月に戻っていくお姫様、という物語がすんなり入ってきますよね。
絵本の名作も本当にたくさんあって、ロングセラーも多いです。
幼い頃に好きだった絵本を、また子どもたちと読む喜びは格別ですね。
私が子どもの頃のお気に入りは、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』の中に出てくる月の満ち欠けだけが描かれたカレンダー。
今見ると、本筋とはさほど関係ない一コマだし、絵も小さいものです。
子どもが見ているものは、大人とは違うのかもしれません。
子どもの目線の傑作と言えばマーガレット・ワイズ・ブラウンの『おやすみなさい おつきさま』を思い出します。
1947年が初版(日本語版は1979年)ですが、少しも古びていません。
静かに心が満ちてくるのを感じます。
少しシュールな感じの絵本『月おとこ』(トミー・ウンゲラー)も好きなんですが、娘たちより私の方が面白がっていたかな。
月の絵本のうち、一番心に残っているのは林明子さく『おつきさまこんばんは』(福音館書店)です。
くらいそらにまんまるおつきさまがのぼってきて
くもにかくれて
また出てくるだけの
とてもシンプルな絵本です。
この絵本を一度、6名ほどいたでしょうか、2〜3歳児の前で読んだことがあります。
何度か会ったことのある子どもたちでしたけれど、ページを繰るに連れ、みんなが集中して一心に絵本の中に入ってくるのを感じました。
本当にひと言も発することなく、じーっと、吸い寄せられるように見つめているのです。
子どもたちと絵本を読んでいて、あんなに緊張したのは後にも先にもこの時だけです。
これが優れた絵本の力なのでしょうね。
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