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【外付けの価値観から脱却を】 感想: 『あやうく一生懸命生きるところだった』ハ・ワン (著), 岡崎 暢子 (訳)
まとめ
私にとって、この本での重要な部分を簡単にまとめると
誰かに仕組まれた価値観から脱却しよう。
自分の大切なもの、大切なことに気づいて人生を楽しもう。
ということです。
本を読んだ動機
FIREサラリーマン みかんさんが紹介されていた本です。
脱力系のタイトルで、とても気になる本だったので、図書館で借りてみました。みかんさんがオススメする本です。期待!
感想
生きづらさの正体は、「正解社会」と「仕組まれた欲求」だと思いました。
正解社会について、著者はこう述べています。
僕らの社会は正解が決まっている。その道を歩まない限り、後ろ指をさされる。
確かに、私たちは知らず知らずのうちに、「こうあるべき」という価値観に染まってきています。医師だったら、専門医をとって学位もとって世のため人のために働く、というのがあるべき正解の道のひとつでしょうか。世間一般だと、勉強していい大学を出て、いい会社に勤めて、出世して、というのが王道コースなんじゃないかと思います。会社員をやったことはありませんが。
こうした「単一の正解」が示された場合、そこから外れるときは、なかなか大変そうです。
ですが、その価値観はどこから来たのでしょう?正解が書かれた教科書があるわけではありません。でも、これまでの経験から正解っぽいルートがぼんやり示されていて、どうもそのルートに乗らないといけない気がしていました。そして、その正解っぽいルートに乗ると、どうしても競争が生じます。
最も簡単に、早く、自分を不幸にする方法を探すなら、「他人との比較」をおすすめする。
と指摘しているように、他人と比較する作業は精神的には相当な負担になりますよね。だって絶対勝てないんですよ。周りには自分よりすごい人がたくさんいます。SNSなんぞ覗いたら、凄そうなひとばかりです。
そして、「正解」が決まっているから、正解に辿り着くための方法論が提供されます。これをすれば正解に近づきますよ、正解した人はこういう人ですよ、などと謳って、さまざまな商品やサービスが提供されます。これが、「高度に計算されたマーケティング戦略」に乗って、さも私に必要そうに訴えかけてきます。
これに対して著者は「世界は僕らが不幸だとダマしている」と言っています。言い過ぎかもしれないなと思う反面、結構的を得ているんじゃないかと感じました。
こうした、外側からの働きかけによって形成される欲求を、本書では「仕組まれた欲求」と表現しています。
私は、生きづらさとは、外的な要因によって徐々に自分の中で形成された「正解」と、その正解のために必要だと錯覚させられた「仕組まれた欲求」によって、自分自身の本来の価値観がわからなくなってしまった状態だ、と思いました。これは自分の内側から湧き出た価値観ではなくて、いわば外付けの価値観です。
なので、こうした外付けの価値観に従って一生懸命生きることは危ういんだ、ということが本書のメッセージなんだと思います。
それよりも、自分で大切だと思えることに、自分の貴重な時間やお金を費やしたいなと思いました。
おわりに
よい本でした。とくに競争に疲れた人にしみるんじゃないでしょうか。
韓国人の本ですが、その悩みは日本でも共通することが多いです。
翻訳も素晴らしくて、いかにも翻訳という印象を受けることなく、最初から日本語で書かれたエッセイのようでした。
すごい。
読んで頂き誠にありがとうございました。
髙草木
基本情報
リンク:あやうく一生懸命生きるところだった
入手場所:図書館
読み始めた日:2024年11月12日
備考:読書ノート13冊目