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中小企業【アフターコロナ】の資金繰り!《別枠という罠》②基礎知識編

別枠という罠

新型コロナウィルス対策の制度融資を利用した多くの経営者は融資の申込手続きの段階で、金融機関の担当者等から「これは別枠ですから」と何度も何度も念を押されるように説明を受けています。

結論から申しますと、別枠は単なる名称であって本質的な別枠ではありません。緊急事態における支援策として特別な制度融資ですので、融資額や、融資条件については、通常の枠とは異なる別枠と捉えることは出来ます。

しかし融資を受けた企業において、その企業の財務上の評価を決定した時に金融機関等が設定する融資限度額(融資枠)に対しては別枠ではありません。融資限度額は通常の融資額と新型コロナの制度融資の別枠と呼ばれる枠の合算した額が新型コロナの制度融資の貸付時には、その企業の融資限度額となります。しかしアフターコロナになると、融資限度額は上記の特別枠(通常枠+別枠)から、通常の融資額に自動的に減額されます。

分かりやすく説明すると、新型コロナ対策の制度融資による融資額の決定は、通常の資金使途を問わない融資枠(運転資金)に対して、別枠として設定されているため、通常の融資を受ける場合よりは融資額が増える(別枠)傾向にありますが、コロナ後はその増えた枠が元に戻ります

具体的に言うと、資金使途を問われない融資枠(運転資金)は通常の融資制度においては月商の1~2か月分が限度額となりますが、新型コロナ対策の制度融資の場合は、月商の4~5か月程度まで限度額が広がる傾向が多く見受けられました。文字通り、融資額が通常枠より増加していので別枠と呼ばれます。コロナ融資じゃないと借りることが出来なかった融資額なので、平常時におけるその融資申込企業が金融機関から調達できる資金総額に対しては実力以上の調達となり通常融資限度額を大幅に上回る通算借入残高となりますので、言い換えると平常時とは別枠の資金調達となります。

また金利に関しては、通常は公定歩合を基準とした基準金利に対して、その企業の財務状況を加味して決定を通常はしますが、新型コロナウィルスの対策融資に関しては、要件を満たした企業は業績を問わず、実質無金利の制度を利用することが可能でした。通常金利が適用されない融資という意味で別枠と捉えることも出来ます。

そして、すべての新型コロナウィルス対策の制度融資が一巡して、実質的には大半の企業がこれ以上のコロナ融資を受けることが出来なくなり、制度自体が形骸化、もしくは実質利用不可制度となった今、大部分の中小企業経営者にとって、新型コロナウィルス対策の制度融資により得た恩恵(通常枠を超えての運転資金の調達)は大きな、とても大きな足かせとなり、未曾有経済危機に晒されている現在においては実力以上の負債となりリカバリーすることが難しい負の遺産として貸借対照表において財務指標を圧迫します。

本来なら将来的に調達することが出来たであろう事業資金の不用意な先食いというのが新型コロナウィルス対策の制度融資による調達資金であることになります。


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