技術書の翻訳レビューに参加してみて(スタッフエンジニアの道)
こんにちは。taka_ftです。
先日、8/26発売の島田浩二さん訳「スタッフエンジニアの道」に翻訳レビューという形で関わらせて頂きました。
自分にとって、翻訳レビュアーとして技術書に関わることが初めてでした。
どのようにして参加したのか、実際参加してみたどうだったかを書き記しておきます。
どのようにして参加したのか
こちらの@snoozer05さんの投稿を拝見し、公募に応募して参加させて頂いた、という流れになります。
島田さんは他にも多くの本の翻訳を担当されていますので、定期的に募集をかけられています。原書が明確でなくとも、下記のように、どのような内容の本かが分かるようになっていますので、もしも興味があったり、自分の知見が活かせそうな本の翻訳レビューを募集されている場合は、応募してみては如何でしょうか。
なぜ参加しようと思ったのか
大きく2点あります。
曲がりなりにも英語で仕事をしていて、技術書の翻訳&レビューがどのように行われているのかには興味があったこと
ここでは上級技術リーダーとありますが、会社でもシニアなグレードのメンバーのグレードや期待値についてちょうどよく考えている時期で、この本を読むことで得られる示唆があると思ったこと
参加してみてよかったこと
結論、めちゃくちゃ勉強になりました。どういう良いことがあったのかをまとめます。
本を読み込む、本が伝えたいことが何かを考えることができる
まず、普通に本を読むよりも、意識的に本を読み込むことができます。
もちろん、誤訳みたいなところや、言葉の間違いの部分を気にすることもありますが、それよりも、この文章はどういうことを伝えたい文章なんだろうか、この翻訳ではその意図がスッと伝わってくるのか、みたいなことを意識しながら本を読むことになります。これは、結果として本を一段しっかり読み込むことができるきっかけになりました。
そのため、さらっと本を読むこととと比較するとより本が書かれれている内容と向き合うことが翻訳レビューというロールによって半ば強制的に出来るようになります。
また、翻訳レビューを行う過程で、同じ箇所を複数読むこともあります。複数回読むことで気づけることや、違う感じ方をしたりなどの発見があります。
私は普段は余程のことがないと、一回読んで大枠を理解して、あとは気になった時に調べて再度その箇所を読むみたいなことが多い人間ですが、本を複数回読む機会を与えられることで、新しい本の読み方を見つけた気がしています。
翻訳レビューは英語が得意でなくとも、貢献することができる
翻訳レビューという役割を見た時に最初に想像したやることは、「英語から日本語の和訳をながめて、その翻訳が合っているかどうか確かめていくこと」でした。やってみて分かったことは、良い意味でその期待値は裏切られたということです。
これは、島田さんのプロセスと説明のお陰も大いにあるのですが、「まず翻訳がされた本を読んで、その内容や言っていることがスッと入ってくるか、違和感がないか」ということから始めました。
なので、英語うんぬんではなく(もちろん、英語が得意な方は原書と比較して表現のレビューをすることが出来ますし、そういったレビューをされるレビュアーの方もいらっしゃいます)。まずは1技術者としてその本を読んで、しっくりくるか、ということから始めることができます。
とすると、募集のポストにあったテーマに自分自身が知見があったり、あるいは興味があるという場合は、間違いなく何かしらの観点でフィードバックすることができます。そして、そのようなフィードバックこそが良いフィードバックになることも多々あったように感じました。
なので、翻訳レビューという言葉を聞いた瞬間、自分は英語が、、と思う方もいるかもしれませんが、そうでなくともレビュアーとして出来ることは多いにあります。
逆に、英語が出来る人や、原書を読み込んだことがある人はその観点でフィードバックを行うことも出来ますので、そういった貢献の仕方ももちろんよいのかな、と思います。
凄いレビュアーの方がたくさんいる
レビュー自体はgithubのissueを通じて行ったのですが、初心者翻訳レビュアーの私の目線から見ると、凄いレビュアーの方がたくさんいました。
言葉の表現や間違いについて、適切なissueを立てる方
より俯瞰的な視点で、全体の流れや表現の仕方などについてissueを立てる方
示唆に富んだフィードバックをされる方
などなど、あげたらキリがないのですが。私的には、自分でissueをあげるだけではなく、他の方があげたissueを見ることも勉強になったり、気づきとなった部分がありました。ある種ドキュメントレビューの仕方の勉強にもなると思います。
翻訳レビューのプロセス、翻訳者の振る舞いすごい
翻訳レビューがどのように行われているかすら知らない人間でしたので、翻訳レビュアーとして参加してその内側を知った時は本当にすごい!と思うことが沢山ありました。全ての翻訳者が似たようなプロセスでやっているかどうかは分からないのですが、@snoozer05さんの翻訳レビューのプロセスは本当にすごいと思うことが沢山ありました。
また、結果として翻訳者は膨大な量のissueに目を通すことがあるのですが、その中では結構深い議論になるようなものもあります。その中でも島田さんの懐が深いレビューへの対応の仕方は素敵だなと思ったことが何回もありました。
このような見えない内側を見る機会を経たことも良かったことです。
(これは運もある)読んだ本が本当に良い本だった
これは毎回必ずそう、とはならない話かもしれませんが、結果として読んだ本が自分にとってはすごく良い本で、学びも多くありましたし、今このタイミングで読めて良かったと思いました。
自分がいいと思った本を読み込むことで、得られるラーニングは非常にあったので、こればっかりは巡り合わせがあるとは思いますが、結果的に翻訳レビュー、やってよかったなと思いました。
本に名前が載る
やっぱりちょっと嬉しい。
さいごに
ということで、翻訳レビューに参加してみてどうだったか、ということをまとめてみました。
もしもこれを読んで翻訳レビューに興味が出た方がいましたら是非挑戦してみてください!