何をその姿から学ぶか 〜大村はま『新編 教えるということ』
今日6月2日は大村はまの誕生日(1906年6月2日生、2005年4月17日98歳で没)ということで、某所で使うため『新編 教えるということ』(筑摩書房、1996年)を久しぶりに手に取ったついでにパラパラ眺めていたのだが、この本、熱烈な愛好者らと共に読み継がれてきただけあって、本当に吸引力がある。と同時にあらためてその先進性に気付かされる。
以下のような、一斉一律授業スタイルへの批判。
単なる形態としての一斉一律の否定ではなく、「劣等感や優越感は自分の成長を本気でみつめることの妨げにな」る、「ほんとうの成長の喜びを得させられない」と、子どもが抱く感覚への自らの洞察に基づいてこれを述べている。
次のは、今でいうところの「研究者としての教師」の提唱に重なる。
「研究している教師はその子どもたちと同じ世界にいます」にハッとさせられる。
大村はまは同じ教材を二度使うことがなかった、と伝説のようによく語られるが、それに関しては本書で次のように述べている。
かくあるべしでそうしていたのではなく、初めての教材で授業に臨むほうが自分自身心躍ったから、そういう自分の感覚に忠実だったから、結果としてそうなっただけ。
さすがだなあと思うし、そういうところにこそ大事な提起があるのだろうなあとも思う。