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海で

6年前、大学生になった。海の近くに住んでいた。近くといっても車で20分くらいで行ける距離だ。福島県の山に囲まれた盆地で育った自分にとって、海はあまり馴染みのない存在だった。

大学生になってはじめての8月、せっかく海の近くにいるのだから自転車で海まで行ってみよう、と唐突にも思った。自転車に乗り、こぐこと約50分。壮大で今まで見た事のない景色が現れた。たかが海でしょ、と言われるかもしれないが、当時の僕にとってはそれくらい壮大な眺めだった。海を見たのはおそらく10年ぶりぐらいだったと思う。自転車から降りて、コンクリートでできた階段に腰を下ろして、ただ海をぼーっと見ていた。何を考えるわけでもなく、ただただそれが心地よかった。

なぜか、海に心奪われる。壮大で、自分の悩みなんかフッと消えてしまいそうになる。そんな景色をまた、ぼーっと見ていたいと思う今日この頃。


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