条件付き
久しぶりに盛心塾の機関紙輪読勉強会に参加してきました。機関誌134号に掲載されている、「人の上に立つ人の心」という稲盛氏の講話を文字に起こしたものを読み合わせ、学びを共有する勉強会でした。振り返ってみると、134号を読むのは2017年の2月以来、もう6年半経っていました。
そんな久しぶりに読んだ内容ですが、2017年に読んだ時のレビューが残っていたので確認してみると、今回読んで印象に残ったところと違ったところに焦点を当てていました。どんな本でも、その時自分の置かれている状況によって、受け取り方が大きく変わってくるのですが、稲盛塾長の著書はそれがとても顕著に現れると思います。
稲盛塾長は「もうダメだというときが仕事のはじまり」とおっしゃっています。他に「成功するまであきらめない」なんて言う言葉もありますが、途中であきらめてしまうことを厳しく戒めてくれます。コロナ禍で厳しい状況の中、私も含めてこうした言葉に勇気づけられた塾生も多いことでしょう。
しかしながら、この「もうダメだというときが仕事のはじまり」が条件付きであるとありました。その条件は「ただし、それは綿密に計画を立て、考えに考え抜いて、『やれる』と信じこみ、始めた人の場合です。」というものです。「考えに考え抜いて」というところですが、もちろん数日ではダメで「私は、同じことを二カ月間、ずっと考え続けたことがあります。」ともありました。
事業には引き際も大切だと思いますが、「もうダメだというときが仕事のはじまり」とか「成功するまであきらめない」なんていう言葉を聞いてしまうと、とにかく粘って粘ってやらなければと思ってしまいます。しかしながら、そうした取り組みは綿密な計画があってこそであって、サラッと思いつきで始めてしまったような事業には当てはまらないのですね。
実は、かつて諦めてしまった事業があったのですが、やっぱり「もうダメだというときが仕事のはじまり」、「成功するまであきらめない」なんていう言葉が引っかかって、「あの選択は正しかったのか」なんて思い返すことがありました。いや、もう決断した過去のことですから、それこそ「感性的な悩み」ですから、時々ふと思いう程度のことなのですが、思えばその事業は、勢いで始めてしまい、綿密な計画とは程遠いスタートでした。
そんな訳で、久しぶりに良い勉強をさせて頂きました。もっともっと考えなければなりません。