LGBTQの働き方をケアする本

 宮川直己著・内田和利監修「LGBTQの働き方をケアする本」を読みました。著者はトランスジェンダー当事者で、組織の生産性向上と人間関係改善をサポートするメンタルコーチをされている方です。著者と知り合うことが出来たので手に取りました。

 セクシュアリティという言葉がいきなりわからなかったのですが、意味を調べてもなんともはっきりしない感じがしました。しかしながら、読み進めてみて、性別という言葉が二つに分けるような意味になっているので、その二つに限らないような代わりの言葉という解釈でよさそうに思えました。そのセクシュアリティを構成する3要素が・身体の性別、・性自認、・性的指向とありました。性的嗜好ではなく性的指向なのですね。LGBTQそれぞれの3要素について解説されていましたが、最初の・身体の性別はLGBについては不問で、性自認の性別がどちらなのかとうところでカテゴライズしていました。この感覚が分からないと根本的なところが理解できないのかもしれません。

 トランスジェンダーと性同一性障害は同じかと思っていたのですが、トランスジェンダーはあくまで出生時の身体の性別と性自認が一致しないと感じる人で、その中で特に医療的治療が必要な人に対する医学的疾患名が「性同一性障害」であるとのことでした。よく「LGBTの内、LGBは性癖だけど、Tは病気だから一緒にしてはいけない」と聞きますが、それは誤解なのですね。

 知らない言葉が多くて苦労しましたが、ぼんやりと知っていることがよろしくないということが良く分かりました。そうした解説の後は具体的なコミュニケーションの方法が書かれていました。具体例も交えてわかりやすく書いてくれていましたが、読ませて頂く中で、「先入観を持たずに、丁寧なコミュニケーションを心掛ける」という言葉でまとめて締まって良いように思えました。ですからLGBTQに限らないコミュニケーションの手法として読んでも良いように思います。

 正直、私はこうした話になると、左翼的な思想が絡んでくることが多いので、反発したくなってしまう人間なのですが、本書は非常に読みやすかったです。というのも「差別」という言葉が2,3回、「生きづらい」という言葉が1回出てきたくらいだったからです。つまり、私はそうした言葉に引っ掛かっていたのでしょうね。考え方よりも、言葉に反応していたというのはあまりよろしくないですね。良い反省材料を頂きました。

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