日本の美学 11
続きです。
著者は「世の中に興味がない。これが一番良かった。」と言っています。私自身は「世の中を知りたい」という欲求から、本を読んで来たので、こちらもガッカリです。続けて「興味がないのだから強い。あと人に好かれたいと思ったことがない。これが最高だった。だから武士道と文学と書物の中に突入していけるのです。」とありました。「情報は何もないほど強い。」、「情報が多い人は全部駄目です。」ともありました。情報が無い方が強いというのは、分かるような気がします。些末な情報に惑わされて、大切なことを見落とし、判断ミスをするなんていうことが無いわけではありません。とはいえ、ゼロでも厳しいわけですが、どれだけ情報をそぎ落として、シンプルに考えられるかが大切なのでしょう。稲盛和夫氏も同様のことを言っています。
「優れた書物そのものが自分の運命に生きた人の魂だからなのです。自分の運命に生きた人の魂を友とすると、自分も運命に生きることが出来るようになる。それが読書の最大の喜びなのです。」とありました。読んだ本をレビューして、SNSに投稿しているうちはまだまだヒヨッコですね。「最大の喜び」というのが、全く分からないわけではなく、自分の読書経験を振り返ると、理解できていたこともあるというか、こういうことはゼロか百かではありませんから、こうした言葉を聞いた後に取り組む読書というのはまた少し違ってくるのかもしれません。
この後、著者が最近出た本の中で面白い本を紹介してくれます。その中に、岩田温著「流されない読書」がありました。意外と言っては岩田温氏に失礼かもしれませんが、著者がこれだけ最近の本を紹介しているというのを見たことがありません。岩田氏はYouTubeなどでお話を聴いたこともあり、好感を持っておりましたので、是非とも読んでみたいと思います。
また、「ゆっくり読んだもの以外は、全然糧になっていない。」とありました。たくさん読みたいので「速く読みたい」という気持ちが常にありますが、「急ぐことそのものが欲望なのです。」とありました。しかしながら、著者は信じられないくらいの読書量です。かってな解釈をすれば、急いで読もうとせず、ゆっくり読み込むことを繰り返し、「急ぐ」という欲望が無くなれば、自然と早く読めるようになってしまうものなのかもしれません。
続きます。