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【採用"新"時代の戦略】数値化と言語化で、効果的な採用戦略を立てる

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前回の記事では、100社あれば100通りの採用戦略がある中で、自社に合った採用戦略を見極める必要性について触れました。

自社の採用戦略を立てるには、まず数値化と言語化が重要です。

今回は、その点について深掘りしていきたいと思います。

1.採用活動の数値化の重要性

採用活動を数値化することは、自社の採用状況を正確に把握し、適切な施策を打つ上で非常に重要です。数値化は、採用目標を立てるところから始まります。

採用目標の人数、いつまでに採用したいかの期日、どこまでコストをかけれるかの採用予算などを数値化することが、採用戦略を立てる上での土台となるのです。

具体的には以下のような指標の数値化が求められます。

採用計画

  • 目標人数

  • 採用期日(内定承諾ベース)

  • 採用予算

  • 採用単価

採用管理

  • 応募数(有効応募数)

  • 面接通過率(一次面接、最終面接)

  • 内定率(応募数÷内定数)

  • 内定承諾率(内定辞退率)

  • リードタイム(応募から内定)

これらの数値を定期的に計測、分析することで、自社の採用活動の課題が浮き彫りになります。課題が明確になれば、打つべき手も見えてきます。

まだ成長途中の採用チームは、毎月の応募数のことだけしか意識できていないのに対し、採用がうまくいっている採用チームは、有効応募数やリードタイム、スカウト返信率から面談設定率など、細やかさな数値を週次単位で把握しています。

つまり、数値化のレベルは採用チームの成熟度によって異なります。まずは自社の採用チームのレベルを認識した上で、一歩ずつレベルアップを図っていくことが肝要です。

しかし、数値化だけでは不十分です。採用活動を成功に導くためには、獲得したい人物像を明確に言語化することも同様に重要なのです。

2.獲得したい人物像の言語化

数値化と同様に重要なのが、獲得したい人物像の言語化です。
言語化とは「採用プロセス全体で求める人物像を、具体的な言葉で表現する」ことを指します。

言語化するべきもの

  • 必須スキル

  • 歓迎スキル

  • 求める人物像

  • マインドセット

  • 募集ポジションの業務内容

  • 入社後のミッション

  • 同ポジションのキャリアパス

これらを言語化せずに曖昧なままでは、効果的な採用活動は望めません。求職者に自社の求める人物像が伝わらないばかりか、社内の認識もバラバラになってしまいます。

例えば、Indeedによると2024年3月19日時点で日本全国には「営業」に関する求人が73,083件掲載されています。つまり、7万3,000社のライバルと競い、営業マンを獲得しなければならないのです。

「営業が欲しい」という曖昧な表現では、具体的にどのような人材を求めているのかが伝わりません。営業職といっても、その役割は多岐にわたります。

営業職の中でも、インサイドセールス、フィールドセールス、エンタープライズセールスなど、役割によって求められる能力は大きく違いますし、営業職は扱う商材によっても大きく異なります。個人向けの商品を売るのか、法人向けの商品を売るのか。有形商材(物理的な製品)を扱うのか、無形商材(サービスやソフトウェアなど)を扱うのか。
「営業職」と一言でまとめられても、求められるスキルセットは大きく変わってきます。さらに、営業経験の有無も重要な要素です。

このように、「営業が欲しい」という一言だけでは、求める人物像を具体的に言語化したとは言えません。
求職者や人材紹介会社のエージェントに自社の求人が選ばれるためには、具体的でわかりやすい言語化が不可欠なのです。

求人票には「法人向けクラウドサービスの提案営業」「未経験者歓迎のルート営業」など、できる限り具体的に記述することが重要です。

扱う商材、対象顧客、必要な経験やスキルなどを明確にすることで、自社が求める人物像を明確に伝えることができるのです。

曖昧な表現を避け、具体的な言語化を心がける。それが優秀な人材を獲得する第一歩だと言えるでしょう。

ただし、言語化した内容を社内で共有し、採用プロセス全体で一貫性を持たせることが重要です。つまり、言語化と数値化を採用プロセスのあらゆる場面で実践することが、採用活動の改善につながるのです。

3.言語化と数値化で採用戦略を改善する

採用活動を改善するためには、数値化と言語化を活用して具体的な課題を設定し、適切な対策を立案することが重要です。

例えば、採用したいポジションの内定承諾率が低い場合、どこに問題があるのかを分析する必要があります。考えられる要因は大きく2つ。「応募数の不足」と「選考通過率の低さ」です。

「応募数が少ない」という課題に直面したとき、安易に「母集団形成を強化しよう」と考えるのは危険です。それは、ダイエットに例えるなら「食生活を改善せずに運動量だけ増やそう」と言っているようなもので、本質的な問題解決にはつながりません。

応募数不足の背景には、様々な要因が潜んでいる可能性があります。

  • 自社が属する業界の求人倍率が高い

  • 面接官の採用基準が高すぎる

  • 母集団形成の施策や予算が不十分

など、複数の仮説を立て、自社にとって最も可能性の高い課題を特定する必要があります。

ここで留意すべきは採用担当者のリソース不足です。多くの企業において、採用担当者の数は、営業部門やエンジニア部門に比べて限られています。しかも、採用以外の人事業務も兼任していることがほとんどです。

だからこそ、限られたリソースを最大限に活用するためには「数値化」が不可欠なのです。データを用いて自社の課題を可視化し、最も確度の高い仮説に、時間と労力を集中投下する。それこそが、採用改善への近道だと言えるでしょう。

数値化と言語化、それに基づく課題設定は、採用活動に「鋭さ」をもたらします。漠然とした問題意識ではなく、データが示す具体的な課題に向き合うことで、初めて本質的な解決策が見えてくるのです。

これからは「採用戦闘力」を身につけるために、採用担当者には数値化と言語化のスキルが必ず求められます。

4.数値化と言語化で「採用戦闘力」を高める

数値化と言語化は「採用戦闘力」を高めるための強力な武器です。

数値化は、自社の採用活動の現状と課題を明らかにします。応募数、面接通過率、内定承諾率など、各段階での数値を把握することで、ボトルネックがどこにあるのかが見えてきます。そして、その課題に対して適切な施策を打つことで、採用活動の効率化と最適化が可能になるのです。

言語化は、自社が求める人材像を明確にし、採用活動の方向性を定めます。曖昧な表現ではなく、具体的な言葉で求める人材像を表現することで、適切な母集団にアプローチすることができます。また、面接官の評価基準のブレを防ぎ、採用プロセスの一貫性を保つことにもつながります。

数値化によって現状を把握し、言語化によって目指すべき方向性を定め、方向性に沿って施策を実行し、再び数値化によって結果を検証し、そしてまた改善する。

この一連のPDCAサイクルを回すことこそが、「採用戦闘力」の本質です。

数値化と言語化は、採用担当者の意識改革にもつながります。数値を意識することで、結果にコミットする姿勢が生まれます。言語化に取り組むことで、人材に対する理解が深まります。
これが採用担当者と採用チームの成長を促進し、組織全体の「採用戦闘力」を高めていくのです。

「採用戦闘力」を高めるためには、他社との比較よりも、まずは自社の採用活動を徹底的に見直すことが重要です。

具体的には、自社の求人票を1つ取り上げ、以下の点を数値化してみましょう。

  • 有効求人倍率

  • 採用目標人数と期日

  • 採用予算

  • 月間応募数と通過者数

次に、求人票の内容を具体化するために、以下の項目を充実させましょう。

  • 募集背景

  • 必須要件

  • 歓迎要件

  • 求める人物像

各項目をさらに2つ追加して、記載内容の文字数を10文字だけ増やすだけで求める人物像がより明確になり、他社との差別化につながります。

日々の業務に追われ、ついつい作業的に求人票を作成したり、数値を算出したりしがちですが、一度立ち止まって「数字」と「言葉」に向き合う時間を設けることが大切です。

採用合宿のように、業務とは切り離した時間を確保し、数値化と言語化に集中的に取り組むことで、中長期的な採用活動の改善につなげることができるでしょう。

今、採用市場は大きな変革期を迎えています。少子高齢化による労働人口の減少、グローバル競争の激化、テクノロジーの進歩など、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。このような時代に勝ち残るためには、他社より一歩先んじて優秀な人材を獲得することが不可欠です。

数値化と言語化を武器に、戦略的な採用活動を展開することが、これからの時代に求められる採用担当者の「採用戦闘力」です。

数値化と言語化で採用戦略を改革することは、勇気が必要なことかもしれません。しかし、その一歩が、御社の採用を大きく変える転換点となるはずです。


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