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ふるさと納税の進化に期待!

ふるさと納税制度の改正が行われ、国が基準としていた返礼品割合3割を遵守していなかったとして、大阪の泉佐野市など4自治体がふるさと納税の特例控除の対象から外されることになりました。

今日の日経でも取り上げられていました。

私も以前には、返礼品の禁止、特例控除の廃止など抜本的な改革が必要であると考え、以下のような投稿もしていました。

しかし、法改正によって返礼割合3割が認められた以上は、それを前提とした議論が必要ではないかと思い、また、私自身、投稿をした当時からこれまでに、いろいろ考えてみたりして、こう考えるようになりました。

「ふるさと納税制度を基にして、もっと寄付の良さや重要性について理解が広がればいいのではないか。」

そのためには、ふるさと納税サイトを変える必要があると思います。

日経の記事の中で、以下のような指摘がありました。

「金券などの返礼品を紹介し続けた一部の仲介サイトにも混乱の責任の一端がある。」

「総務省の要請に応じて、問題のある返礼品を掲載しなかった仲介サイトがシェアを落とすなど、正直者が損をする事態も起きているようだ。」

確かに、ふるさと納税サイトの中には、制度の趣旨に沿うような取り組みをしているところと、そうでないところがある感じはします。

下のように、返礼品を寄付するというプロジェクトを進めるところもあれば、

富裕層向けに、明らかに返礼品だけを目的としたコンシェルジェサービスなるものを提供しているサイトもあります。

ふるさと納税サイトは、自治体と利用者を繋ぐもので、ふるさと納税制度がどの様に使われるのか、その影響力は大きいと思います。

以下では、ふるさと納税制度が世の中に寄付の良さや大切さを広める役割を果たすために、その情報発信元となるふるさと納税サイトがどうあるべきか、ということについて考えてみたいと思います。

寄付の使い道をアピールする

ふるさと納税サイトをみると、どのサイトも返礼品の写真がずらりと並び、ふるさと納税をするためにサイトを訪れた利用者からクリックされるのを待っています。

でもこれって、おかしくないですか。サイトのトップ画面に表示して見てもらうべき情報は、寄付をどのように使うのか、ということではないでしょうか。

ということで、サイトのトップ画面で返礼品を表示することを禁止するべきでしょう。

いくら返礼品が3割までOKだとしても、寄付の使い道を明示しないで返礼品を前面に出すのは本末転倒です。各自治体は、寄付の使い道についてもっと具体的に示し、それによって利用者から選ばれるように努力するべきです。

今でも、寄付の申し込み画面では、寄付の使い道を選択できるようになっていて、「子育て」や「町おこし」、あるいは「市長にお任せ」などというものがありますが、これでは漠然としていて不十分ではないでしょうか。

私たち寄付する側も、寄付金がどの様に使われるのか、関心を持つべきではないでしょうか。

サイト運営各社では、「xxxxクラウドファンディング(xxxxは各社の名前など)」といって、社会課題に取り組むNPOと自治体がタイアップし、ふるさと納税を活用して資金調達を行う仕組みを提供していますが、このようなものがサイトのトップページに出るようにすれば良いと思います(下の画像はふるさとチョイスのガバメントクラウドファンディング)。

寄付がどの様に使われたかを伝える

寄付を受けた自治体は、寄付者に対して寄付がどの様に使われ、地域の皆さんの役に立っているか情報発信するべきです。

私たちの寄付が地域の皆さんの役に立ち、笑顔にしている様子を見れば、その自治体に寄付をして良かったと感じ、また寄付をしたいと感じるのではないでしょうか。

そうすれば、仮に返礼品が無くても、寄付を継続できるようになると思います(下は、ふるさとチョイスのトップページに掲載された「ふるさとからありがとう」のバナー)。

ふるさと納税から寄付の動きを広げる

寄付を必要としているのは、自治体だけではありません。世の中の社会的課題に取り組むNPO法人や公益団体もたくさんありますが、これらの団体にはふるさと納税ではお金が回りません。

ふるさと納税を通じて寄付の良さを感じた方が、自治体以外にも寄付をしたいと思った時、すぐに行動に移せるように、ふるさと納税サイトに他のクラウドファンディングサイトのリンクを貼るなど、相互の協力を進めたらいいのではないでしょうか。

ふるさと納税サイト「さとふる」では、クラウドファンディングサイトを運営する「CAMPFIRE」と業務提携してプロジェクトを始めましたが、いまいち活発ではないようです。今後の他社の動向も含めて、期待したいと思います。

寄付にもリターンがある

このように、ふるさと納税サイトにおける情報発信の方法をもっと工夫すれば、返礼品の仕組みは維持されたままでも、私たちや自治体のふるさと納税制度に対する考え方が、本来の趣旨に沿ったものに変わっていくでしょう。

そして、それがさらに寄付全般に対する私たちの理解を深め、寄付が世の中に広がるきっかけになるのではないでしょうか。

寄付と言うと、良いことだと分かっていても、お金が自分の手元からなくなってしまうように感じて、「お金をたくさん持っている人がやれば良いのでは」という人もいます。

でも、寄付はお金をあげるだけで、自分が得るものは何もないと考えるのは間違いかもしれません。寄付をすることによって、世の中がより良く明るくなり、私たちは幸せな気持ちになれるという、目には見えませんが「リターン」を得ることができるのです。

このような寄付本来の良さを体験できる場として、ふるさと納税制度の今後の進化に期待したいと思います!

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