淡雪を踏みて駱駝はゆつくりとじつに駱駝はゆつくり沈む/宇祖田都子
「うたそら」第七号掲載のテーマ詠「淡」。
八十首の中で「淡雪」など雪を詠んだ歌は十首あった。そんな中、掲出歌は他に類を見ない「淡雪」の歌である。
まず、上句で淡雪と駱駝という組合せの不自然さに惹かれる。
また、「駱駝はゆつくりと」と来れば「歩む」などの語を想起させるのだが、下句でそれが裏切られる。
第二句と第四句で「駱駝」が出てくるが、これは駱駝の沈下を視覚的にも表していよう。いつの間にかこの空想的世界観に沈んでいってしまった。
「うたそら」第八号「そらよみ一首評」掲載。